以下は、平成24年介護報酬改定の内容です。
平成24年介護報酬改定の経緯
改 正 年 | 改 定 率 |
---|---|
平成15年改正 | ▲2.3% |
平成18年改正 | ▲2.4%(17年分含む) |
平成21年改正 | +3.0% |
平成24年改正 | +1.2% |
介護報酬1.2%プラス改定(在宅プラス1.0%+施設0.2%)
・施設中心から在宅介護中心
・地域包括ケアを基盤とした在宅重視
介護報酬改定までの流れ
介護報酬は平成12年に介護保険法が施行されて以来、3年に一度の改定頻度で定期的に見直されてきました。
平成24年度改定は、
- 厚生労働省の「社会保障審議会介護給付費分科会」に於いて審議され、平成24年1月25日に答申が行われました。
- その後、平成24年2月23日に全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議において老企25号、 厚生省令37号など改定による解釈通知等が示され、
- 平成24年3月13日に官報に交付、
- 平成24年3月16日および平成24年3月30日に介護報酬改定に関する関係Q&Aが出されました。
平成24年介護報酬1.2%プラス改定
実質的にマイナス0.8%の改定
今回の改定率は前回平成21年度に続いて、介護報酬改定率1.2%(うち、在宅分1.0%、施設分0.2%)のプラス改定となりました。
しかしながら、今回の改定で導入された「介護職員処遇改善加算」が2%割合で改定率に含まれていることから、実質の改定率は、1.2%0-2%=マイナス0.8%であることが早々に指摘されています。
介護職員処遇改善加算の2%を改定率から差し引いて考える理由は、 介護職員処遇改善交付金同様に事業者にとっては事業所には1円も残せない加算であり、事業者の前を素通りして全額が介護職員の手元に渡る加算であるためです。
しかしながら、全額が介護職員の手元に渡るとしても、事業所の職員給与の補填となることは事実であり、介護事業者の人件費の占める割合が高いことを勘案すると確実な経営資源であり、今回の改定率に含めることは正しいと言えます。
地域包括ケアと医療との連携の推進
今回の介護報酬改定に先立って告示された介護保険法の改正において、介護保険法第五条三項の規定で、保険者の責務として「介護・医療・住いとの連携」が義務付けられました。
今後の介護保険行政は、介護保険だけではなく、医療と住まいとの連携を図ることの義務が明示されたのです。
この「介護・医療・ 住い」 は地域包括ケアシステムの基幹をなす3本柱でもあり、今回の介護報酬改定の基本的な考え方にもなっています。
地域包括ケアシステムは、今後の国の介護福祉行政の基盤となります。
2010年9月時点で23%を超えている日本の高齢化率は、すでに超高齢化社会の域に達しており、今後は急速に進行していきます。
2015年に26%超、2025年には30%を超えると予想される日本の高齢化率は、実に日本人3人に一人が65歳以上となることを示しています。
これに対する現時点での高齢者福祉対策が地域包括ケアシステムであり、地域をエリアに細分化して、そのエリアの中で居宅を中心とするケアシステムを構築するという、施設重視から居宅重視への介護福祉行政における方向性は明確です。
その中で今回の介護保険法の改正で新設された定期巡回随時対応型訪問介護看護および複合サービスは、在宅介護における今後のあるべき姿、 一つの方向性を具現化したものであると言えます。
高齢者住まい法の改正で新設されたサービス付き高齢者向け住宅の10年間で60万戸を目標とする整備計画と相俟つて、これからの介護福祉事業の業界が再編成されていくことは必然です。
2011介護事業経営実態調査結果
介護事業別利益率
2011年結果 | 2007年結果 | |
---|---|---|
通所介護 | 11.6% | 7.3% |
介護老人保健施設 | 9.9% | 7.3% |
介護療養型医療施設 | 9.7% | 3.2% |
特養 | 9.3% | 3.4% |
訪問入浴介護 | 6.7% | 1.5% |
福祉用具貸与 | 6.0% | 1.8% |
認知症対応型通所介護 | 5.9% | 2.7% |
訪問介護 | 5.1% | 0.7% |
小規模多機能型 | 5.9% | ▲8.0% |
居宅介護支援 | ▲2.6% | ▲17.0% |
グループホーム | 8.4% | 9.7% |
短期入所生活介護 | 5.6% | 7.0% |
通所リハビリテーション | 4.0% | 4.5% |
特定施設入居者生活介護 | 3.5% | 4.4% |
訪問看護 | 2.3% | 2.7% |
訪問介護(予防を含む)
通所介護(予防を含む)
居宅介護支援
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