以下は、平成24年介護報酬改定の内容です。
訪問看護~短時間型重視が明確化~
改定のポイント
訪問看護は、地域包括ケアシステムにおける医療との連携の中で、中心的な位置づけをされている介護サービスです。
今回の介護保険法改正で創設された、定期巡回随時対応型訪問介護看護や複合サービスにおいて、看護職員の果たす役割は重要です。
また、同じく創設された介護職員の医療行為に関しても、経管栄養業務は、その最終的な挿入状況の確認は介護職員が単独で行う事が出来ず、看護職員による確認が義務付けられています。
新しい介護と医療の連携においては、訪間看護ステーションが不可欠なのです。
今回の介護報酬改定では20分未満のサービスが夜間のみでなく、要件を満たすことで日中も算定できるようになりました。
また、短時間の訪問看護サービスの基本報酬も高く評価されています。
新設の加算に関しても、訪問介護同様に初回加算が創設され、定期巡回随時対応型訪問介護看護や介護職員の医療行為に関連する加算も新設されています。
またターミナルケアや重度のケアに関するサービスが評価されています。
今後の介護福祉サービスにおいては、更に訪間看護サービスに求められる役割が高まると予想されます。
訪問看護ステーションの場合
現行 | 4月からの単位 | 比較 |
---|---|---|
20分未満 285単位/回 | 316単位/回 | 10.8% |
30分未満 425単位/回 | 472単位/回 | 11.1% |
30分以上60分未満 830単位/回 | 830単位/回 | 0% |
1時間以上1時間30分未満 1198単位/回 | 1138単位/回 | ▲5.1% |
病院又は診療所の場合
現行 | 4月からの単位 | 比較 |
---|---|---|
20分未満 230単位/回 | 255単位/回 | 10.8% |
30分未満 343単位/回 | 381単位/回 | 11.1% |
30分以上60分未満 550単位/回 | 550単位/回 | 0% |
1時間以上1時間30分未満 845単位/回 | 811単位/回 | ▲4.1% |
訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護
現行 | 4月からの単位 | 比較 |
---|---|---|
30分未満 425単位/回 | 1回あたり316単位/回 | ▲25.7% |
30分以上60分未満 830単位/回 | ▲61.9% |
※1日2回を超えて訪問看護を行う場合、1回につき所定単位数の90/100を乗じた単位数で算定する。
※1回あたり20分以上
※1人の利用者につき1週間に6回を限度に算定する。
改定の概要
報酬体系
改正前
【訪問看護ステーションの場合】
- 20分未満 285単位
- 30分未満 425単位
- 30分以上1時間未満 830単位
- 1時間以上1時間30分未満 1198単位
【病院又は診療所の場合】
- 20分未満 230単位
- 30分未満 343単位
- 30分以上1時間未満 550単位
- 1時間以上1時間30分未満 845単位
改正後
【訪問看護ステーションの場合】
- 20分未満 316単位
- 30分未満 472単位
- 30分以上1時間未満 830単位
- 1時間以上1時間30分未満 1138単位
- 理学療法士等による訪問の場合(1回あたり20分以上)316単位
【病院又は診療所の場合】
- 20分未満 255単位
- 30分未満 381単位
- 30分以上1時間未満 550単位
- 1時間以上1時間30分未満 811単位
※算定要件
(20分未満)
- 利用者に対し、週に1回以上20分以上の訪問看護を実施していること。
- 利用者からの連絡に応じて、訪問着護を24時間行える体制であること。
( 理学療法士等による1あ問の場合)
1日に2回を超えて訪問看護を行う場合、1回につき所定単位数に、90/100を乗じた単位数で算定する。また、1週間に6回が限度。
ターミナルケア加算
改正前
在宅で死亡した利用者について、別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定訪問看護事業所が、その死亡日前14日以内に2回以上ターミナルケアを行った場合(※ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合にも算定可)
2,000単位/死亡月
【算定要件】
- ターミナルケアを受ける利用者について24時問連絡体制を確保し、かつ必要に応じて指定訪問看護を行う体制を整備していること。
- 主治医との連携の下に、訪問看護におけるターミナルケアに係る計画及び支援体制について利用者及びその家族等に対し説明し、同意を得てターミナルケアを実施していること。
- ターミナルケアの提供について利用者の身体状況の変化等必要な事項が適切に記録されていること。
改正後
2,000単位/死亡月
死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上(死亡日及び死亡日前14日以内に医療保険による訪問看護の提供を受けている場合、1日以上)ターミナルケアを行った場合。
(注)医療保険においてターミナルケア加算を算定する場合は、算定できない。
特別管理加算
改正前
250単位/月
※算定要件
指定訪問看護に関し「特別な管理を必要とする利用者※」(厚生労働大臣が定める状態にあるもの)に対して、指定訪問看護事業所が、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合は、特別管理加算として、1月につき250単位を所定単位数に加算する。
※別に厚生労働大臣が定める状態の内容は次のとおり。
次のいずれかに該当する状態
- 診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科診療報酬点数表」という。)に掲げる在宅悪性腫瘍患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態
- 医科診療報酬点数表に掲げる在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自已導尿指導管理、在宅持続腸圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
- 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態
- 真皮を越える褥瘡の状態
改正後
特別管理加算(Ⅰ) 500単位/月
特別管理加算(Ⅱ) 250単位/月
※算定要件
- 特別管理加算(Ⅰ)
在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている状態や留置カテーテル等を使用している状態であること。 - 特別管理加算(Ⅱ)
在宅酸素療法指導管理等を受けている状態や真皮を越える褥瘡の状態等であること。
(注)医療保険において算定する場合は、算定できない。
※区分支給限度額の算定対象外
退院時共同指導加算(新規)
医療機関からの退院後に円滑に訪問看護が提供できるよう、入院中に訪問看護ステーションの看護師等が医療機関と共同し在宅での療養上必要な指導を行った場合や、初回の訪問看護の提供を評価する。
新規
600単位/回
※算定要件
- 病院、診療所又は介護老人保健施設に入院中若しくは入所中の者にたいして、主治医等と連携して在宅生活における必要な指導を行い、その内容を文書により提供した場合。
- 退院又は退所後の初回の訪問看護の際に、1回(特別な管理を要する者である場合、2回)に限り算定できること。
(注)医療保険におけて算定する場合や初回加算を算定する場合は、算定できない。
初回加算(新規)
新規
300単位/月
※算定要件
- 新規に訪問看護計画を作成した利用者に対して、訪問看護を提供した場合。
- 初回の訪問看護を行った月に算定する。
(注)退院時共同指導加算を算定する場合は、算定できない。
看護・介護職員連携強化加算(新規)
介護職員によるたんの吸引等は、医師の指示の下、看護職員との情報共有や適切な役割分担の下で行われる必要があるため、訪問介護事業所と連携し、利用者に係る計画の作成の支援等について評価する。
新規
250単位/月
※算定要件
訪問介護事業所と連携し、たんの吸引等(※)が必要な利用者に係る計画の作成や訪問介護員に対する助言等の支援を行った場合。
(※)たんの吸引等
口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養及び経鼻経管栄養
定期巡回・随時対応サービス連携型訪問看護(新規)
2,920単位/月
要介護5の者に訪問看護を行う場合の加算(新規)
800単位/月
医療保険の訪問看護を利用している場合の減算(新規)
96単位/日
介護予防訪問看護
報酬体系
改正前
【訪問看護ステーションの場合】
- 20分未満 285単位
- 30分未満 425単位
- 30分以上1時間未満 830単位
- 1時間以上1時間30分未満 1198単位
【病院又は診療所の場合】 - 20分未満 230単位
- 30分未満 343単位
- 30分以上1時間未満 550単位
- 1時間以上1時間30分未満 845単位
改正後
短時間かつ頻回な介護予防訪問看護のニーズに対応したサービスの提供の強化という観点から、時間区分毎の報酬や基準の見直しを行う。
介護予防訪問看護ステーションの理学療法士等による介護予防訪問看護等について、時間区分毎の報酬や基準の見直しを行う。
【訪問看護ステーションの場合】
- 20分未満 316単位
- 30分未満 472単位
- 30分以上1時間未満 830単位
- 1時間以上1時間30分未満 1138単位
- 理学療法士等による訪問の場合(1回あたり20分) 316単位
【病院又は診療所の場合】
- 20分未満 255単位
- 30分未満 381単位
- 30分以上1時間未満 550単位
- 1時間以上1時間30分未満 811単位
※算定要件
(20分未満)
- 利用者に対し、周に1回以上20分以上の介護予防訪問看護を実施していること。
- 利用者からの連絡に応じて、介護予防訪問看護を24時間行える体制であること。
(理学療法士等による訪問の場合)
- 1日に2回を超えて介護予防訪問看護を行う場合、1回につき所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定する。
- 1週間に6回が限度。
特別管理加算
改正前
250単位/月
※算定要件
介護予防指定訪問看護に関し「特別な管理を必要とする利用者※」(厚生労働大臣が定める状態にあるもの)に対して、指定介護予防訪問看護事業所が、指定介護予防訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合は、特別管理加算として、1月につき250単位を所定単位数に加算する。
※別に厚生労働大臣が定める状態の内容は次のとおり。
次のいずれかに該当する状態
- 診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科診療報酬点数表」という。)に掲げる在宅悪性腫瘍患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態
- 医科診療報酬点数表に掲げる在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自已導尿指導管理、在宅持続腸圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
- 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態
- 真皮を越える褥瘡の状態
改正後
利用者の状態に応じた介護予防訪問看護の充実を図る観点から、特別な管理を必要とする者についての対象範囲と評価を見直す。
特別管理加算(Ⅰ) 500単位/月
特別管理加算(Ⅱ) 250単位/月
※算定要件
- 特別管理加算(Ⅰ)
在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている状態や留置カテーテル等を使用している状態であること。 - 特別管理加算(Ⅱ)
在宅酸素療法指導管理等を受けている状態や真皮を越える褥瘡の状態等であること。
(注)医療保険において算定する場合は、算定できない。
※区分支給限度額の算定対象外
退院時共同指導加算(新規)
医療機関からの退院後に円滑に介護予防訪問看護が提供できるよう、入院中に介護予防訪問看護ステーションの看護師等が医療機関と共同し在宅での療養上必要な指導を行った場合や、初回の介護予防訪問看護の提供を評価する。
新規
600単位/回
※算定要件
- 病院、診療所又は介護老人保健施設に入院中若しくは入所中の者にたいして、主治医等と連携して在宅生活における必要な指導を行い、その内容を文書により提供した場合。
- 退院又は退所後の初回の介護予防訪問看護の際に、1回(特別な管理を要する者である場合、2回)に限り算定できること。
(注)医療保険におけて算定する場合や初回加算を算定する場合は、算定できない。
初回加算(新規)
新規
300単位/月
※算定要件
- 新規に介護予防訪問看護計画を作成した利用者に対して、介護予防訪問看護を提供した場合。
- 初回の介護予防訪問看護を行った月に算定する。
(注)退院時共同指導加算を算定する場合は、算定できない。
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)
平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)
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