大阪府 平成23年度 介護保険事業所に対する主な指導事項

訪問介護・介護予防訪問介護

人員に関する基準

訪問介護員等の員数

○訪問介護員等が常勤換算方法で、2.5以上確保されていない。

サービス提供責任者について

○サービス提供責任者が常勤専従の者がいない。
○サービス提供責任者の配置数が不足している。

(ポイント)
サービス提供責任者は、月間の延べサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く)が概ね450時間又は端数を増すごとに1人以上、当該事業所の訪問介護員等の数が10人又はその端数を増すごとに1人以上のいずれかに該当する人数を配置すること。
なお、月間の延べサービス提供時間及び訪問介護員等の数に係る人数は、訪問介護(介護予防訪問介護を含む)のほかに障害者自立支援法の事業(居宅介護・重度訪問介護・行動援護・移動支援事業)を一体的に行っている場合は、それぞれの事業のサービス提供時間及び員数を合算して算出すること。
・ サービス提供責任者が1人を超える場合は、原則として、1人分のみの常勤換算が可能
・ サービス提供責任者が5人を超える場合は、サービス提供責任者の2/3以上を常勤職員とする。
・ 非常勤のサービス提供責任者は、当該事業所における常勤の従業員が勤務すべき時間数の1/2以上であること。


運営に関する基準

訪問介護計画について

【未作成及び未交付】
○訪問介護計画が作成されていない。(提供するサービスの内容について、利用者又はその家族に対する説明が行われておらず、同意も得られていない。)
○訪問介護計画を、利用者に交付していない。
○訪問介護計画に、利用者の同意及び交付を受けた旨の署名・押印を得ていない。

(ポイント)
・ サービス提供責任者は、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって、解決すべき問題状況を明らかにした上で(アセスメント)、援助の方向性や目標を明確にした訪問介護計画を作成しなければならない。
・ 訪問介護計画の作成にあたっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。
・ 作成した訪問介護計画は利用者に交付しなければならない。


【内容の不備】
○訪問介護計画に訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されていない。
○居宅サービス計画に基づかないサービスを位置づけている。

(ポイント)
・ 訪問介護計画の作成にあたっては、援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等の氏名、提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を曜日ごと、サービス提供ごと等に明らかにすること。
・ 訪問介護計画は、居宅サービス計画の内容に沿ったものでなければならない。
・ サービス提供責任者は、訪問介護計画の実施状況の把握を行い、利用者の状態の変化等により、追加的なサービスが必要になった場合やサービス内容に変更が生じた場合は、当該状況を居宅介護支援事業所へ情報提供し、居宅サービス計画の変更の提案や
訪問介護計画の変更を行うこと。


サービス提供状況の報告及びモニタリングの実施について(介護予防訪問介護のみ)

○サービス提供責任者が、介護予防支援事業者に対し、サービス提供状況の報告を1月に1回以上実施していない。

(ポイント)
サービス提供責任者は、介護予防訪問介護計画に基づくサービス提供の開始から、少なくとも1月に1回は、利用者の状態、サービスの提供状況等について、介護予防支援事業者に報告すること。


○サービス提供責任者が、介護予防訪問介護計画に記載したサービスの提供を行う期間が終了するまでに、1回以上、実施状況の把握(モニタリング)を行っていない。
○モニタリングの結果について介護予防サービス計画を作成した介護予防支援事業者に報告していない。

(ポイント)
サービス提供責任者は、介護予防訪問介護計画に記載したサービスの提供を行う期間が終了するまでに、少なくとも1回は、介護予防訪問介護計画の実施状況の把握(モニタリング)を行うこと。また、結果については介護予防支援事業者に報告すること。


サービス提供責任者の責務について

○サービス提供責任者が行っている訪問介護業務が、サービス提供責任者の本来業務の遂行に支障を生じさせている。

(ポイント)
サービス提供責任者が訪問介護業務を行う場合は、本来業務に支障がないよう留意すること。なお、サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成業務のほか、訪問介護に関するサービス内容の管理について必要な業務として次の業務を行うものとする。
① 訪問介護の利用の申込みに係る調整をすること。
② 利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること。
③ サービス担当者会議への出席等により居宅介護支援事業者等と連携を図ること。
④ 訪問介護員等に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。
⑤ 訪問介護員等の業務の実施状況を把握すること。
⑥ 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理をすること。
⑦ 訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施すること。
⑧ その他サービス内容の管理について、必要な業務を実施すること。
また、業務を画一的にとらえるのではなく、訪問介護事業所の状況や実施体制に応じて適切かつ柔軟に業務を実施するよう留意するとともに、常に必要な知識の修得及び能力の向上に努めること。


介護報酬等の請求に関する事項

介護報酬等の請求における不適切な事例について

○利用者の不在時に生活援助等のサービス提供を行っている。
○生活援助で日常的に行われる家事の範囲を超えるサービス提供を行っている。

(ポイント)
生活援助で日常的に行われる家事の範囲を超える行為等は、介護給付費の算定はできない。
一般的に介護保険の生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例
《「直接本人」の援助に該当しない行為》
主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行為
・利用者以外のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し
・主として、利用者が使用する居室等以外の掃除
・来客の接待
・自家用車の洗車・清掃 等
《「日常生活の援助」に該当しない行為》
訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為
・草むしり
・花木の水やり
・犬の散歩等ペットの世話 等
《日常的に行われる家事の範囲を超える行為》
・家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え
・大掃除、窓ガラス磨き、床のワックスがけ
・室内外家屋の修理、ペンキ塗り
・植木の剪定等の園芸
・正月、節句のために特別な手間をかけて行う調理 等
参考:「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成12年11月16日老振第76号)


○介護報酬の算定時間が訪問介護計画に位置づけられた標準的な時間となっていない。

(ポイント)
指定訪問介護事業所の訪問介護員等が指定訪問介護を行った場合に、現に要した時間ではなく、訪問介護計画に位置付けられた内容の指定訪問介護を行うのに要する標準的な時間で算定する。


○道路運送法による有償運送の許可等を受けていないにもかかわらず、通院等乗降介助の形態によるサービス提供を行い、これを身体介護で算定している。
○道路運送法による有償運送の許可等を受けていない車輌により、通院等乗降介助のサービスを提供し、報酬を算定している。
○道路運送法による有償運送の許可等を取得しているが、通院等乗降介助の形態によるサービスで、例外的に身体介護で請求できるサービスでないにもかかわらず、身体介護で算定している。

(ポイント)
・ 「通院等乗降介助」とは
要介護者である利用者に対して、通院等のため、「訪問介護員が自ら運転する車への乗車又は降車の介助」、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助」を行った場合に1 回につき、所定単位数を算定する。
これらは一連のサービス行為として含むものであり、それぞれの行為を細かく区分し、「通院等乗降介助」と「身体介護中心型」を算定することはできない。
取扱いについては下記資料等を確認すること。
参考:「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年老企36号) 第2の2(6)
参考:「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」及び「身体介護が中心である場合」の適用関係等について
(平成15年5月8日付老振発第0508001号・老老発第0508001 号)
・ 「身体介護中心型」による「通院・外出介助」
通院のための準備→バス等交通機関への乗降→気分の確認→受診等の手続き等を行った場合に所定単位数を算定する。


○通院介助において、院内での単なる待ち時間を含めて介護給付費を請求している。

(ポイント)
身体介護は、利用者の身体に直接接触して行う介助並びにこれを行うために必要な準備および後始末並びに利用者の日常生活を営むのに必要な機能の向上等のための介助及び専門的な援助であり、例えば、病院において要介護者が受診している間等の、介護等を行わず単に待っている時間は介護給付費の対象とならない。
参考:介護報酬に係るQ&Aについて(平成15年5月30日)厚生労働省 訪問介護Q5


○同時に2人の訪問介護員が1人の利用者に対して訪問介護のサービスを行った場合におて、報酬の算定誤りがある。

(ポイント)
同時に2人の訪問介護員等により訪問介護を行うことについて利用者又はその家族の意を得ている場合で、次のいずれかに該当する場合は、計画に位置付けた上で行うこと。
① 利用者の身体的理由により1人の訪問介護員等による介護が困難と認められる場合
② 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる場合
③ その他利用者の状況等から判断して①又は②に準ずると認められる場合

報酬算定例

○身体介護中心型の訪問介護を提供する予定の利用者に、当日の心身の状態の変化等より、介護支援専門員と調整した上で訪問介護計画を変更し生活援助中心型のサービを提供した場合において、実際に提供したサービス内容(生活援助中心型)で報酬を算すべきところ、変更前の訪問介護計画に位置づけられた内容(身体介護中心型)のまま算
定していた。
○訪問介護を1日に複数回行っているが、算定を誤っている。

(ポイント)
・ 訪問介護は在宅の要介護者の生活パターンに合わせて提供されるべきであることら、単に一回の長時間の訪問介護を複数回に区分して行うことは適切ではない。しがって、前回提供した指定訪問介護から概ね二時間未満の間隔で指定訪問介護が行れた場合には、それぞれの所要時間を合算するものとする。なお、この取扱いについは、所要時間が訪問介護費の算定要件を満たす指定訪問介護に限り適用される。
・ 所要時間が訪問介護費の算定要件を満たさない指定訪問介護(身体介護中心型の要時間が20 分未満(夜間、深夜及び早朝の時間帯に提供する場合を除く。)又は生活助中心型の所要時間が30 分未満の場合)については、訪問介護費の算定対象とならいが、こうした所定時間数未満の訪問介護であっても、複数回にわたる訪問介護を一のサービス行為とみなすことが可能な場合に限り、それぞれの訪問介護の所要時間を計して一回の訪問介護として算定できる。
≪例≫午前に訪問介護員等が診察券を窓口に提出し(所要時間30 分未満)、昼に通院助を行い、午後に薬を受け取りに行く(所要時間30 分未満)とした場合には、それぞの所要時間は30分未満であるため、それぞれを生活援助(所要時間30分以上一時未満)として算定できないが、一連のサービス行為(通院介助)とみなして所要時間を計し、一回の訪問介護(身体介護中心型に引き続き生活援助を行う場合)として算定で
きる。



○特定事業所加算の算定要件である事項が実施されていない。

(ポイント)
・ すべての訪問介護員等(登録ヘルパーを含む。以下同じ)に対し、訪問介護員等ごとに研修計画(研修の目的、内容、期間、実施時期等)を作成し、当該計画に従い、研修を実又は実施を予定していること。 利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問介護事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を少なくとも1月に1回以上開催し、その概要を記録すること。
・ 訪問介護の提供に当たっては、サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項(※)を毎回のサービス提供ごとに文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受け、文書で記録を保存すること。
※ サービス提供に当たっての留意事項
・利用者のADLや意欲の状況
・利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
・家族を含む環境
・前回のサービス提供時の状況(したがって毎回のサービスごとに文書等による伝達が必要である)
・その他サービス提供に当たって必要な事項
・ 当該指定訪問介護事業所のすべての訪問介護員等に対し、健康診断等を少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担で実施すること。
・ 緊急時等における対応方法について対応方針、連絡先及び対応可能時間等を重要事項説明書等に明記して利用者に交付し、説明すること。


○初回加算の算定要件である事項が実施されていない。

(ポイント)
新規に訪問介護計画を作成した利用者に対して、初回に実施した訪問介護と同月内にサービス提供責任者が初回又は同月内に利用者の居宅を訪問又は他の訪問介護員に同行し、その記録をサービス提供記録に記載すること。


有料老人ホームや同類似施設又は高齢者専用賃貸住宅におけるサービス提供について

○不必要な若しくは過剰なサービス提供が行われている。
○1人の訪問介護員などが同時に複数の利用者に対して、サービス提供が行われている。
○管理者、サービス提供責任者が夜間の対応を行っているため、営業時間に勤務していない日が多く、管理業務に支障をきたしている。
○高齢者専用賃貸住宅等の施設職員と訪問介護事業所のヘルパーとの勤務体制が明確に区分されていない。

サービス提供にあたり、留意する点について

○「医行為」の範囲の解釈について

(ポイント)
下記資料を参考にし、提供しようとするサービスが医師法等の規制の対象となっていないかどうかを確認すること。
参考:「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(平成17年7月26日付医政発第0726005号)


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