役員の社会保険料を安くする方法

標準賞与額の上限は、

  1. 健康保険は年間540万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)
  2. 厚生年金保険は月額150万円
    です。

そのため、賞与を年間540万円以上払っても健康保険の上限に達していますので、健康保険料は増えません。

同様に、厚生年金保険についても賞与が月額150万円以上であれば上限に達していますので、厚生年金保険料は増えません。

事例紹介

役員に月額100万円、年間にして1,200万円の報酬として支払っていましたが、それを月額10万円賞与を1,080万円にすると、下の通り年間の社会保険料を約70万円安くなります。

年収は同額ですが、支払方法を変えて社会保険料を抑えます。

【対策前】

役員報酬健康保険厚生年金合計
1ヵ月100万円57,722円54,169円111,891円
1年間の合計1,200万円692,664円650,028円1,342,692円


矢印画像


【対策後】

役員報酬健康保険厚生年金合計
1ヵ月10万円5,772円8,562円14,344円
賞与1,080万円318,060円131,055円449,115円
1年間の合計1,200万円387,324円233,799円621,123円


留意点

  1. 株主総会議事録の作成
    記載例(抜粋)

    第1号議案 役員報酬月額改訂の件(事前確定届出給与)
    議長は、当会社の役員報酬を平成 年 月分より、下記のように変更したき 旨を述べ、慎重審議した結果、全員の一致でこれを承認可決決定した。

                   記
    役  職  氏 名  月額給与     事前確定給与
              (定期同額)
    代表取締役 ОООО   10万円    1,080万円(12月末)
    取締役   ОООО   ××万円    ×××万円(12月末)

  2. 「事前確定届出」の提出
    役員の賞与を法人税上損金算入するためには、役員が職務の執行を開始する日(選任日等)又は事業年度開始から3ヶ月が経過する日のいずれか早い日までに「事前確定届出」を税務署に提出しなければなりません。そして、届出した所定の時期に確定額を支払わなければなりません。届出した金額と実際支給額が異なる場合には、全額損金に算入できません。
  3. 源泉所得税や住民税は増えます。
    社会保険料が減ることにより、役員の手取り金額は増えます。その結果、役員の報酬から控除される源泉所得税や住民税は増えることになります。それでも、社会保険料の方が多く減るので、手取り金額は以前に比べて増えることになります。
  4. 月々の生活費の不足
    役員の毎月の報酬が減りますので、月々の生活費が不足するときは仮払金又は借入金の返済で平準化することも必要になります。




【大阪府の保険料額表】
大阪府の保険料額表



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松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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