特養 食費・居住費の負担軽減対象者の具体案(補足給付の見直し)

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

特別養護老人ホームの食費や居住費の負担軽減について、9月25日のブログで厚生労働省が検討している具体案を記述しました。

さらに、平成25年9月25日に開催された第49回社会保障審議会介護保険部会では、詳細な具体案が示されていましたのでご紹介します。

補足給付の見直しのイメージ
補足給付の見直しのイメージ

所得要件

現行の要件に次の要件が追加されています。
世帯分離していても配偶者が非課税であること。配偶者が住民税課税の場合は対象外になる

現行の要件

現行の要件は、利用者負担第1~第3段階に該当する方を対象に、段階に応じた自己負担額(負担限度額)が設定されています。

食費・居住費の標準的な費用の額(基準費用額)と自己負担額との差額を介護保険から特定入所者介護サービス費(補足給付)として施設等に支払われます。

例えば、食費については標準的な費用の額(基準費用額)が日額1,380円に対して、第1段階の負担限度額が300円であり、その差額1,080円が補填されます。

補足給付の概要

追加要件

配偶者の所得要件が追加されています。

特別養護老人ホームなどの施設へ入所する場合、入所者は住民票をその施設の所在地に移すことがあり、世帯が分離されることがあります。

配偶者間には他の親族間より強い「生活保持義務」があることを考慮すると、住民票上の世帯が分離されていても特別な事情がない限り、配偶者が住民税課税の場合には補足給付の対象外とされます。

例えば、A市にご夫婦で住んでおられいたが、奥さんがB市にある特別養護老人ホームに入所し、住民票もA市からB市に移した場合、奥さんが第1段階~第3段階に該当しても、ご主人が該当しなければ補足給付の対象外になります。

資産要件①

預貯金・有価証券が、次の金額未満であること。

  1. 単身で1000万円
  2. 夫婦で2000万円

【自主申告と不正受給に対するペナルティ】
預貯金、有価証券等の額を、通帳等の写しと共に自主申告します。

必要に応じ市町村は金融機関へ照会し、不正受給が行われたらペナルティが設けられます。

【単身1000万円・夫婦2000万円の根拠】

画像の説明

ユニット型個室に入居した場合の一月当たりの費用7.5万円で、年金受給額との差額が不足することになります。

特別養護老人ホームの平均在所期間は約4年間で、入所時点の平均年齢は85歳です。

9割以上の入所者は、10年以内に退所しています。

つまり、特別養護老人ホームに入所した方は、入所してから10年以内にほとんどの方がお亡くなりになっています。

以上から下の図の通り、貯金が500万円あれば年金受給額が月額3万円であっても、ほほ10年間の費用を賄えることができます。

(7.5万円-3万円)×12ヶ月×10年=540万円

したがって、単身で1,000万円、夫婦で2,000万円の預貯金と有価証券を持っていれば、まず支払い出来るであろうと思われます。

 「差額」を入所期間に応じて積み上げ

資産要件②

不動産資産が固定資産税評価額で2000万円(公示価格等で約3000万円)未満であること。

不動産を担保とした貸付制度の創設

評価額が一定以上の不動産を保有する者については、補足給付の対象外とされますが、市町村が当該不動産を担保とした貸付を介護保険の財源を用いた事業として行い、利用者の死後に回収する仕組みが導入される予定です。

不動産を担保とした貸付制度のイメージ(案)
画不動産を担保とした貸付制度のイメージ(案)

【担保の対象とする不動産】
流動性を確保できる種類・規模のものとする必要がありため、宅地が基本とされます。

また、配偶者が住んでいる場合はその死後まで返済が猶予されることや、子どもが住んでいる場合は担保の対象とする不動産から除外されます。



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