デイサービスの差別化~重度者対応~
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
日経ヘルスケア2013年10月号に、「追い風吹くデイサービスの重度者対応」というタイトルの記事がありました。
2015年の介護保険法の改正は、デイサービスに大きな影響があると言われています。
デイサービスを事業内容によって類型化し、介護報酬にメリハリをつけようと検討されています。
今後、激変が予想されるデイサービス業界にとって、一つのヒントになるであろうと思い、今回、「追い風吹くデイサービスの重度者対応」の記事を紹介します。
詳しくは、日経ヘルスケア2013年10月号をご覧ください。
要介護度別利用者割合の推移
デイサービスの利用者の要介護度割合は、介護保険制度が開始された2001年以降、顕著な変化は見られません。
上図のとおり、デイサービスの利用者の要介護度割合に大きな変化はありませんが、一部のデイサービス事業者の中には、要介護3以上の中重度を中心として受け入れる事業所を新設したり、既存の事業所を中重度対応に強化する動きが増えつつあるとしています。
日経ヘルスケア2013年10月号には、その背景と課題が書かれていました。
中重度者対応強化の背景と将来性
中重度者の利用ニーズの拡大
中重度者の利用ニーズが拡大している理由として、次の点が指摘されていました。
- 要介護認定者数の増加に伴い、施設生活を望まなかったり、経済的理由により高齢者住宅に転居できない要介護者が増えてきたこと。
- 急性期病院の入院日数短縮化に伴い、在宅移行が進んでいること。
- 中重度者向けの療養通所介護は、指定基準の厳しさや採算性の問題から普及しておらず、一般のデイサービスの利用が増えていること。
制度リスクに対応
厚生労働省が目標として掲げている地域包括ケアシステムにおいては、中重度者の在宅介護のウエートが高まりデイサービスの利用が増えると予想されます。
また、要支援者への予防給付を市町村の地域支援事業に移行させる案が検討されていますが、中重度者への対応強化は、そのリスク回避になります。
このように、中重度者を対象としたデイサービスは、将来を含め利用ニーズがあり、また今後の制度改正リスクにも対応しているため検討の価値がありそうです。
ただし、次に記載してあるとおり、課題も多くハードルも高いので、中長期的な視点で継続して取り組むべき課題です。
中重度者対応強化の課題
- 手間やコストの問題
入浴介助や送迎などに人手がかかる。ストレッチャーを搬入できる送迎車や特殊浴場などが必要になることがある。送迎については、ストレッチャーなどを使用すると、1回あたりの人数が限定される。 - 収入の問題
中重度者は介護報酬の単価は高いが、体調不良や入院により稼働率が低下することがある。 - プログラム作りや職員教育の問題
中重度者向けに何をすればよいか? - 医療面の問題
痰吸引などに医療行為にどう対応するか?
以上のような課題がありますが、今後、予想されるデイサービスの経営環境の厳しさを考えたとき、他社との差別化の一例として参考になるかと思い取り上げました。
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