国が自画自賛している介護報酬の改定

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

国は、平成27年度社会保障関係予算について、次の4点を自画自賛しています。

  1. 介護保険料の上昇を抑制
  2. 介護サービスの利用負担を軽減
  3. 介護職員の給料を引上げ
  4. 介護事業者の安定的経営を確保

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出典:財務省「平成27年度社会保障関係予算のポイント」

まずは、国が何を自画自賛しているか見てみましょう。

介護保険料の上昇を抑制

国は、今回のマイナス2.28%を自画自賛しています。

なぜなら、介護保険料の上昇が抑制できたからです。

今の制度をそのまま続けると、今年の4月から40歳以上の給料から引かれる介護保険料は6,000円を超えます。

それが介護報酬をマイナス査定した結果、介護保険料は5,500円ぐらいにおさまったとしています。

介護サービスの利用負担を軽減

2つ目に国が自画自賛したいことは、利用者の負担が軽くなったことです。

介護報酬は下がったので、当然利用者の1割(平成27年8月以降一部2割)負担も減ります。

この様に、介護報酬が下がるとご利用者の負担も減るので良かったと国は主張しています。

介護職員の給料を引上げ

3つ目は、介護職員の給料を上げることができたことです。

介護職員処遇改善加算を4月以降も継続し、しかも一人当たり平均で1万2,000円上げることができたとしています。

介護事業者の安定的経営を確保

4つ目が、介護事業者の安定的経営を確保したことです。

昨年の10月に財務省が横やりを入れ、介護事業所の報酬を下げるように提言しました。

経営実態調査の結果、介護サービスの平均利益率8%という数字が出ましたが、一般の中小企業の利益率は2%です。

介護事業所は、一般の中小企業より利益率が6%高いとして、その6%分を介護報酬から下げろという議論を財務省は展開していました。

財務省の言い分マイナス6%をマイナス2.27%にしたのだから安定経営が確保できた、というのが国の主張です。

さらに、その他良好なサービスを提供する事業所や地域に密着した事業所に配慮したと国は主張しています。

国がいう良好なサービスを提供する事業所というのは、加算を算定している事業所を言います。

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出典:財務省「平成27年度社会保障関係予算のポイント」

「介護事業者の安定的経営を確保」に異論はあるが

介護報酬を2.27%下げておきながら、介護事業者の安定的経営を確保できたという主張に反論される方も多いと思います。

今回の介護報酬改定は、特に多くのデイサービスの事業所で経営が苦しくなることを考えると、とても安定的経営を確保したと言えないと思います。

しかし、介護保険のサービスが適用される仕事をする以上、反論しても仕方ありません。

逆に、積極的に国の方針に従い経営を安定させるという考え方をとるべきと思います。

それが、加算です。

加算というのは、国がやってほしい方向性を報酬としてつけています。

従って、加算を算定している事業所は国の方針に合っている事業所です。

逆に言うと加算を算定していない事業所は、国がやってほしいことをやっていないことになります。

基本報酬が、今回5%ぐらいダウンすると他の加算を取ることによって、報酬ダウンを緩和できます。

加算を取らない事業所は、報酬が大きくダウンします。

ある程度、加算を取っていく、あるいは今回、新規で追加された加算を取ることで、この報酬ダウンを抑えることができます。

しかし、ここで新たな問題として加算を算定している事業所は報酬が高くなり、ご利用者の負担を高くするのでケアマネさんが嫌うことです。

この点の問題の解決策について、後日のブログで書きたいと思います。




松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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