特養の日常生活継続支援加算は、他の介護サービスに大きな影響を与える可能性がある~その2~
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
昨日に続き、特別養護老人ホーム(特養)の日常生活継続支援加算について説明します。
特養は基本報酬6%ダウンにより、100床で年間1,500万円前後の収入が減少し、そのダウンを補うのに取るべき一番手の加算が、日常生活継続支援加算であるということを、昨日のブログで書きました。
安定的に算定できる要件
算定要件は、次の①から③のうちから、いずれかを選択することになります。
①「新規」入居者のうち、要介護4・5の占める割合が70%以上
②「新規」入居者のうち、認知症日常生活自立度Ⅲ以上の占める割合が65%以上
③たんの吸引等が必要な入所者の占める割合が15%以上
上の①~③のうち、どれが一番、安定的に算定できるでしょうか?
③たんの吸引等が必要な入所者の占める割合が15%以上
これは、入居者の状態によって変化しますから、安定的とは言えません。
また、医療行為が多いと看護職員や医師を置かなければならないという制約があります。
②「新規」入居者のうち、認知症日常生活自立度Ⅲ以上の占める割合が65%以上
特養の入所条件は要介護3以上になりましたが、認知症の方は軽度の方が多いです。
また、新規入所者のうち65%以上の方が認知症ですと、職員の負担が大きいです。
これも安定的に算定するのは、難しいです。
①「新規」入居者のうち、要介護4・5の占める割合が70%以上
特養は、要介護3以上の待機者が30万人以上です。
そのため、新規入居者として要介護4以上を多くすることは、難しくありません。
また、入居の可否は特養の入居審査委員会で判断できるので、この要件は特養側で管理することができます。
以上から、安定的に日常生活継続支援加算を算定できるのは、③ということになります。
③を選択すると要介護3の方は在宅へ
要介護4以上の方が特養に入居すると、要介護3の方は在宅で在宅介護サービスを受けることになります。
訪問介護で新設された特定事業所加算(Ⅳ)は、要介護3以上60%以上が算定要件です。
これを算定するのは厳しい要件ですが、特養が要介護4以上に入居者を限定すると、将来的には算定可能な数字です。
この様なことは、訪問介護に限らず他の在宅介護サービスにも影響します。
今までは、要介護1~2が中心でしたが、これからは要介護3の方が増えてきます。
在宅サービスや高齢者住宅のビジネスモデルが変わる
高齢者住宅の入居者も、要介護3までが中心になってきます。
在宅介護サービスや高齢者住宅の経営者は、頭を切り替える必要があります。
要介護3までの利用者をいかに増やしていくか、戦術の転換が必要です。
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