今回は介護報酬が下げられたので、3年後は上がるという期待は持たない方がいい。

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

今回の介護報酬は、大きく下げられました。

したがって、次の報酬改定の3年後は介護報酬が上がるか、少なくとも現状維持であってほしいという期待があるかと思います。

しかし、現実はそんなに甘いものではなく、もっと厳しくなると予想されます。

財務省の昨年の提言

財務省は去年の秋に、介護報酬を6%下げる様に提言しました。

その理由は、その時点で一般の中小企業の平均利益率は2%であるのに対して、介護事業者の平均利益率が8%であったからです。

介護事業者は儲けすぎだから、一般の中小企業並みに利益率を下げるべきであるというのが財務省の主張でした。

つまり、財務省は介護事業者の平均利益率8%と一般の中小企業の平均利益率2%との差である6%分に相当する介護報酬を下げなさいというのが言い分です。

以上が、去年の財務省の介護報酬の引き下げの横槍でした。

結果的には、ご存知の通り介護報酬は実質的に4.48%マイナスになりました。

この様に、財務省は財布の紐を握っていますので発言力は強いです。

財務省は、役所の中の役所と言われるゆえんです。

財務省の3年後の介護報酬についての提言

早々3年後の介護報酬の具体案が、財務省から次の様に出されています。

  1. 今回、予防訪問介護と予防通所介護の2つだけが予防給付から外されて、市町村の総合事業に移りましたが、他のサービス例えば予防訪問看護なども早く総合事業へ移すこと。
  2. さらに、要介護1,2も早く総合事業に移すこと。
  3. 訪問介護の中の生活援助(料理、洗濯、掃除)も介護保険から外して自己負担とすべきこと。
  4. 福祉用具貸与、住宅改修も介護保険から外して自己負担とすべきこと。
  5. 診療報酬、介護報酬は国民の負担を抑える意味で、マイナスとする必要があること。

さらに、財務省は自己負担2割についても提言しています。

この8月から5人に1人が、2割負担となりました。

この5人に1人の線引きがもっと下げられ、自己負担2割が5人で1人から、3人に1人とか2人に1人なる可能性があります。

今回は5人に1人の、どちらかと言うと所得の高い方が自己負担が2割になりました。

これが自己負担2割が3人に1人とか2人に1人とかになると、低所得階層が対象になり利用控えが顕著になってきますし、さらに利用者負担分を回収出来ない可能性が増えてきます。

3年後の介護報酬も下がる可能性がある

3年後の平成30年は、6年に1回の診療報酬と介護報酬の同時改定の年です。

巷では、今回の介護報酬改定が史上最悪、最大の大改定とか言われていますが、今回は階段の踊場にすぎません。

本番は平成30年です。

その平成30年において、診療報酬、薬価、介護報酬をさらに大幅に抑えることが必要であると、財務省は考えています。

恐らく、落としどころは、去年の秋に財務省が出した利益率2%です。

今回、介護報酬が下げられたので、3年後は持ち直すかという淡い期待は持たない方がいいです。

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