障害福祉サービスのメリットと注意点
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
障害福祉サービスも介護保険と同様に、経営実態調査が行われています。
平成26年に行われた実態調査によりますと、障害福祉全体では、収支差率は9.6%です。
ちなみに、平成26年の介護サービスの全体平均は8%でしたが、平成27年の介護報酬改定により、介護サービスの収支差率はさらに下がっています。
障害福祉サービスの収支差率を見ると、介護サービスより儲かっていることが分かります。
【障害福祉サービスの収支差率】
出典:平成26年障害福祉サービス等経営実態調査結果
訪問介護事業者は、障害福祉がみなし指定
障害者の自宅を訪問してお風呂とかお手洗いとか、掃除、洗濯をするのが居宅介護で、重度訪問介護は寝た切り状態の障害者の方を24時間体制でケアします。
この居宅介護と重度障害を併設している訪問介護事業者が多いです。
なぜなら訪問介護の要件を満たしていると、居宅介護や重度障害の許認可要件を満たしているとみなすされるからです。
すなわち人を一人も増やさずに、この許認可をおります。
区分支給限度額を超えても自己負担ゼロ
介護保険を使って区分支給限度額という天井を超えた場合、通常は超えた部分は10割負担になります。
その方が障害児者であった場合は、介護保険の限度を超えた部分は障害福祉で請求できる様になっています。
利用者は介護保険の区分支給限度額までは1割負担で、区分支給限度額を超えた部分は障害福祉サービスで自己負担はほとんどゼロ
です。
訪問介護は障害福祉サービスを併設して、利用者が毎日サービスを利用しても負担が増えないということになっています。
障害福祉は制度リスク少ない
介護保険は高齢者人口が増えていますから、国は介護給付費を抑制しようとしています。
一方、障害者のマーケットは一定規模で、障害者は自然に増えません。
また、障害者の方に対して制度的に厳しくすると世論が許さないという風潮があります。
したがって、障害福祉はどちらかかというと制度改正はそれほど厳しくなく、報酬改定も介護の様に利用者が増えていないので、一定の利益率がキープされています。
障害福祉サービスは拡大しないので早い者勝ち
介護の様にマーケットは拡大しませんから、一定以上の事業所が参入したら飽和状態になります。
したがって、後から参入した事業者は、利用者の獲得が難しい状態になります。
獲得できても、いわゆる難しい方しか残っていない。
こういうリスクを負います。
障害者の方は権利意識の強い方が多く、特に親御さんの中には「私達はこんなに大変なのに、事業所はやってくれない。」という発想で、事業所とトラブルを起こしておられる方がいます。
市場が飽和状態になると難しい方しか残っていないことになり、後で開業した事業所は大変なことになります。