訪問介護事業者は、規模拡大に積極的か?
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
訪問介護事業者にとって、
- 介護報酬改定により報酬が減額され、
- 競合する訪問介護事業所が増加し
- 介護職員の人員確保が困難で
経営環境は厳しい状況です。
その様な状況の中で、訪問介護事業所は事業規模を拡大しようと考えているのか、それとも縮小しようと考えているのか、日本政策金融公庫総合研究所のアンケート結果がその答えを出しています。
【今後の訪問介護事業について】
出典:日本政策金融公庫総合研究所「訪問・通所介護事業者の経営実態」
上の調査結果によると、訪問介護を行っている企業では、全体の30.3%が拡大したいと考えおり、逆に8.6%は縮小・撤退したいと考えています。
意外と拡大を考えている訪問介護事業所が多いです。
その背景には、訪問介護の需要はまだ十分あり、人さえ確保できたら拡大は可能であると考えている事業所があるのではないでしょうか?
また、訪問介護事業所に限らず介護事業所は、一旦ご利用者と契約を結べば、リピーターとして継続してサービスを提供できるため、他の業種に比べ売上の入金が2か月後であっても、経営が安定しやすいという特徴があります。
小規模の訪問介護事業所なら、要介護度の高いご利用者と契約できたら、赤字が一気に黒字に転じることができる可能性があります。
そのため、赤字であっても事業規模を拡大したいという訪問介護事業所あるのではないかと想像されます。
8.6%の訪問介護事業所は、縮小・撤退したいと考えてる
特に介護保険制度ができたときは、競争相手もなくご利用者も自然と集まりました。
その頃に開業した人にとって、今は大変な時代です。
これから良くなるという期待はまったくありません。
この様な状況で訪問介護事業を続けるのは困難であると考える人たちはいます。
それが8.6%の縮小・撤退をしたいという数字に表れていると思います。
また人材確保が難しいということが、撤退を考えている大きな理由である予想されます。
都市部では登録ヘルパーを集めるのが困難になっており、ハローワークに求人しても、まったく応募がないという話はよく聞きます。
先日、訪問介護事業を売却したいというご相談がありました。
その理由が人材確保が難しく、社長自らが現場に出なけらばならず、体力的に続かないので、すぐにでも売却したいというご相談でした。
この様に人材確保は、かなり深刻な状態になっており、さらにこれから介護の担い手が減っていく中で、ますます深刻化していきます。
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