計画やビジョンの明示が定着率アップにつながる
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
介護労働実態調査によると、下図の通り介護関係の仕事をやめた理由として、「職場の人間関係に問題があったため」に次いで2番目に多いのが、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」です。
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働の現状について」( 平成27年度介護労働実態調査)
上図の調査結果から経営者と職員との間で、将来のビジョンや介護の方針などについて共有することが、いかに大事であるかということが分かります。
毎日一生懸命働いても、自分の将来が見えてこない会社では、このまま続けていいのだろうかと不安に思い、やがて辞めてしまうということになってしまいます。
会社の目指す共感できるビジョンが示され、職員がそれに向かって一丸になって進み、その結果事業として成果につながり、そして人事評価に反映されて自分の給料が上がっていくということが示されたら、働き甲斐があり定着率は上がると考えられます。
採用時に計画やビジョンを明示することが重要
会社が示すビジョンや介護の方針などは、すべの人が共感するものではありません。
まったく違う価値観を持っている人もいます。
採用してから会社の考え方と違っていたということが分かっては、お互いにとって不幸なことです。
そこで、まず採用時に会社は自社の価値観やビジョンなどを示し、その考え方に共感する人や賛同してくれる人を採用すべきです。
人材不足だからといって、まったく考え方の違う人を入れて、お互いにストレスを溜めて辞めていくのなら、最初から採用しない方がいいです。
計画やビジョンの明示だけで定着率が高まるわけではない
日本政策金融公庫総合研究所のアンケート調査結果によりますと、計画やビジョンの明示と定着率の関係は次の通りです。
出典:日本政策金融公庫総合研究所の資料より作成
「計画やビジョンはとくにない」という企業で、定着率が高いと回答した企業が55.0%と、「計画やビジョンは示している」という企業の53.8%より高くなっており、必ずしも計画やビジョンの明示が定着率を高めているとは言えません。
しかし、「計画やビジョンは示している」と回答した企業は、「計画やビジョンは示していない」と回答した企業より、定着率は高いと回答した企業は多いです。
また、定着率は低いと回答した企業の割合は、「示している」7.2%、「示していない」11.8%、「計画やビジョンはとくにない」12.1%と増えており、計画やビジョンの明示と定着率との関係はあるものと思われます。
ただし、関係があるにしても、計画やビジョンが絵に描いた餅であってはいけません。
実現できると納得できる根拠があったり、すでに実現しそうであったり、実現可能性が高いことが必要です。
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