4.社会保険料削減の検討前に知っておくべき、社会保険・労働保険の概要~労働基準監督署による調査~

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

労働基準監督官による事業所への立入検査を臨検と言います。

前もって日時の連絡があるのが通常ですが、抜き打ち検査も行われます。

臨検は、主に次に掲げる4パターンがあります。

定期監督労働局及び労働基準監督署の年度計画(労働行政方針)に基づき実施される検査です。
再監督定期監督で是正勧告などを受けた事業所を対象に、その後の是正措置実施状況を確認するために行われる検査です。
 所定の期日までに「是正報告書」を出さない事業所に対して行う場合もあります。
司法警察監督是正勧告を受けた事業主がその是正勧告に従わない場合に、強権を発動して行われる検査です。
逮捕や送検手続きがとられるケースもあります。
申告監督労働者の申告に基づき行われる検査です。
現場を見なければ労働法令違反状態の確認ができない場合を除き、事業主に「労働基準監督署への出頭命令」をすることによって行われるケースが多いようです。
未払い残業代や不当解雇を原因として、検査が増加傾向にあります。
指導が入ると2年間、遡って未払い分の賃金等を支払うことになります。

事業所調査や臨検の対象

労働基準監督署の事業所調査や臨検の対象は、主に次に掲げる事項です。

労働時間管理と残業代等の未払有無の確認賃金台帳、出勤簿、三六協定届、就業規則、労働条件通知書(雇用契約書)などが主な調査対象書類になります。
①すべての労働者の実労働時間を管理しているかどうか
②賃金台帳を適切に作成し、労働日数、労働時間が記載されているかどうか
③労働諸法令を順守しているかどうか
就業規則の内容と届出の確認(労働者数10人以上の事業所が対象)①就業規則の内容が現状に適応されているかどうか
②就業規則を各作業場に備え付けて全従業員に周知されているかどうか
③法律で定められた所定の事項がすべて就業規則に記載されているかどうか
従業員雇入れ時の労働条件明示義務履行の確認①労働条件通知書(雇用契約書)を作成・管理しているかどうか
②法律で定められた所定の事項がすべて記載されているかどうか
安全衛生管理状況の確認①安全衛生管理体制(衛生管理者、産業医等の選任・届出)に問題はないか?
②安全委員会・衛生委員会を毎月開催して、その議事録を3年間保存しているか?
③法定健康診断を実施して、その記録を5年間保存しているか?
④長時間労働を行った者、健康診断で異常の所見有りと診断された者に措置を講じているか?
⑤労災事故防止のための労働安全衛生法令を遵守しているか?

実際の調査の流れ

通常、訪問する場合は、労働基準監督官が2名で訪問してきます。

出頭する場合も同じです。

調査の順番としては、次の通りです。

  1. 労働関係帳簿の確認
  2. 事業主または責任者へのヒアリング(帳簿類と勤務実態の確認や不明点の確認など)
  3. 事業場内の立ち入り調査および労働者へのヒアリング(勤務実態の確認など)
  4. 口頭による改善指導や指示

是正勧告書または指導票、使用停止等命令書の交付

労働基準監督署の調査の結果、法令違反や改善点が見つかった場合は、是正勧告や指導を受けることになります。

法令違反の場合は、その違反事項と是正期日を定めた是正勧告書が交付されることになります。

また、法令違反ではないが改善の必要があると判断されれば指導票が交付されることになります。

是正(改善)報告書の提出

是正勧告や指導票を交付されたら、改善期日までに指摘された違反内容を改善して、是正(改善)報告書を提出することになります。



詳しくは社会保険労務士にご相談ください。
なお、改正により変更されることがありますので、最新の情報をご確認ください。




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