5.社会保険料削減~昇給月を見直し~

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

社会保険料は4月から6月の給料の平均を基に算定されるため、4月に昇給した場合、9月からの社会保険料も負担増となります。

多くの企業は給料の昇給月を4月と定めているケースが多いですが、社会保険料を削減するためには、昇給月を変更してもいいのではないでしょうか?

例えば、改定月を4月から7月以降に変更するという方法があります。

毎年の昇給月を7月以降にすると、毎年の保険料算定に利用する4月〜6月の給与を昇給前のもので算定することができ、社会保険料の削減になります。

これにより、12 カ月間、社会保険料の上昇を遅らせることが可能となります。

【就業規則の変更】
昇給月を変更するに当たり、就業規則や賃金規程、雇用契約書に記載されている昇給に関する条文を変更する必要があります。

また、常時雇用する労働者数が10人以上の事業所については、変更した際に労働者代表の意見書を付けて、所轄の労働基準監督署に就業規則変更届を提出する必要があります。

事例(大阪府)

40歳未満の従業員で介護保険料の負担がなく、月給が300,000円から310,000円に昇給する場合で、昇給が4月と7月でどれだけ社会保険料の負担が違うか計算してみました。

4月に昇給した場合

昇給前の月給300,000円は、下の保険料額表による(標準報酬月額300,000円で、健康保険料15,159円、厚生年金保険料27,273円をそれぞれ従業員と会社が毎月負担することになります。

1年間で(15,159円+27,273円)×12=509,184円の負担になります。

昇給後の310,000円は、健康保険料16,208円、厚生年金保険料29,091円で、1年間で(16,208円+29,091円)×12=543,588円

すなわち、1年間で34,404円(543,588円ー509,184円)の社会保険料負担増となり、従業員と会社は9月から来年の8月までの12ヶ月間で分割して払うことになります。

7月に昇給した場合

社会保険料は4月から6月の給料の平均を基に算定されるため、7月に昇給しても昇給前の300,000円で社会保険料が計算されます。

すなわち、従業員も会社もこの1年間で34,404円の社会保険料が安くなります。

サラリーマンにとって、34,404円は大きい金額ですし、会社にとっても従業員が多ければ多いほど、社会保険料の削減金額は多くなりますので効果は大きいです。

画像の説明

出典:大阪府の平成29年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表


詳しくは社会保険労務士にご相談ください。
なお、改正により変更されることがありますので、最新の情報をご確認ください。




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