ご利用者を引き抜いて開業した後は引き抜かれる立場になる

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

昨日のブログでは、ご利用者を引き抜いて介護事業を開業する人のご相談に対して、私見を述べました。

前職の介護事業所とトラブルなく、ご利用者を引き継いで、事業が早期に軌道に乗れば開業は成功したと言えます。

しかし、従業員であった立場から開業して事業者の立場になると、引き抜いた立場から引き抜かれる立場に変わります。

立場が変われば考え方も変わり、引き抜かれないようにするためにはどうしたらいいかを考えなければなりません。

昨日のブログで引き抜かれる甲社のとるべき適切な方法を記載しましたが、もう一度ここで記載します。

  1. 常日頃、一人のヘルパーだけではなく複数で対応する。
  2. 引き継ぎ時に、今までと同じように十分な対応をするので、継続して利用する様にお願いする。人はお願いされると、断りづらいものです。
  3. 強引な勧誘があったかどうか、ご利用者に聞き取り調査をする。もしあれば、法的手段をとるか検討する。
  4. 就業規則で、ご利用者の情報を使用することを禁止する条文を規定する。

何よりも大事なことは、事前の対策が重要であるということです。

のれん分け制度により優秀な人材を確保

まったく別の視点で、この引き抜き問題をとらえてみました。

ご利用者を引き抜いて開業した立場に戻って、「引き抜き」から「引き継ぎ」という考え方に基づき、独立して開業する意思のある従業員を採用し、数年間働いた人にはご利用者を何人か引き継つでもらうという制度を設けることです。

ご利用者が事業所を選択できる以上、退職した元従業員についていくのは避けられません。

そうであるなら、人材不足で悩んでいる介護事業者は、いわゆるのれん分け制度を創設することで、将来介護事業を開業したい人を採用できるという効果が期待できます。

優秀な人は開業する傾向にあるので、のれん分け制度を設ければ優秀な人が集まるかもしれません。

そもそも介護業界の定着率は悪く、平均の勤続年数は3年もないのではないでしょうか?

そこで勤続3年後に開業する人には、ご利用者の意思を尊重しながら、例えば5人のご利用者を紹介するという、のれん分けのような制度を設けるのです。

どうせ3年も働いたら退職して、ご利用者を引き抜かれるなら、それを逆手にとって奨励するのです。

のれん分け制度で優秀な人を採用できたとして、実際3年後に開業するかどうかは分かりません。

もしいい職場なら開業するより、このままいた方がいいと判断してくれるかもしれませんし、また開業資金がないとか、人員の確保にメドがたたなかったとか、過当競争で廃業しているということを聞いたなどで開業を断念するかもしれません。



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