税務調査の立会に、わざと遅れてきた社長の話し
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
税務調査になれた凄腕の社長の話しをしたいと思います。
今まで100以上の税務調査に立会いましたが、これは酷いと思う社長もいましたが、これは凄いと思う社長もいました。
従業員である奥さんに月30万円を支給
私も税理士として30年以上の経験がありますので、色々な税務調査の経験があります。
結構、税務署と真正面から闘ったことも何度もあります。
そんな中で、この社長は凄いと思った場面が税務調査でありました。
その社長をAさんとし会社を甲社としますと、甲社の税務調査において問題になったのが、Aさんの奥さんに従業員として月30万円の給料を払っていたことです。
つまり、Aさんの奥さんに月30万円払うことが妥当であるか?妥当でないなら年間360万円の経費が認められず、法人税等として約100万円以上の支払が発生します。
3年間で300万円以上になりますから、甲社にとって大きな問題です。
税務調査官は、社長であるAさんに会って、奥さんに月30万円払った根拠、すなわち奥さんはどんな仕事をしており、月30万円がその仕事に見合った金額かどうかを聞きたいということで、会う日を決めることになりました。
社長は16時に会うと約束しておきながら、わざと遅れてきた
Aさんは調査官と会う時間を16時と指定したのです。
16時に指定したAさんの意図は、税務調査は一般的に17時を過ぎて遅くまで行われないということを知っていたのでしょう。
17時になれば、調査官もあきらめるであろうという考えがあったのだ思います。
さらにAさんは16時と約束しながら、20分遅れてやって来て「車が渋滞していまして」と言っていました。
そのとき私は、もしわざと遅れてきたら、この社長はただ者ではないと思いましたが、後で聞いたらわざと遅れてきたと言っていました。
調査官はAさんに奥さんの仕事や給料について質問していましたが、とうとう時間切れです。
調査官がどう言ったかというと「奥さんに30万円払うのは問題があります。しかし、仕方ないので否認はしませんが奥さんを役員にすぐすることを約束してください。」と言ったのです。
これはどういう意味かというと、役員であれば毎日会社に出勤しなくても給料を払っても問題ないということを言いたかったのです。
個人的には月20万円ぐらいが限界とは思いますが、非常勤でも役員であれば、ある程度の金額であれば給料を払っても問題ではありません。
調査官としては後日、会計検査院の調査などにより、役員であれば指摘されないと考えたのかもしれません。
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