デイサービス事業所が延長加算を算定しない理由

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

デイサービスの時間区分の見直しや延長加算は、家族介護の負担軽減や仕事と介護の両立に向けて、介護報酬の改定で次の様に拡大されてきました。

  • 平成15年改定
    平成15年度介護報酬改定で延長加算(50単位/時間)を創設されました。
  • 平成24年度改定
    デイサービスの長時間化のニーズに対応して家族介護者への支援(レスパイトケア)を促進する観点から、7~9時間区分を創設され、12時間までの延長加算を認め、長時間のサービス提供をより評価する仕組みとなりました。
  • 平成27年度改定
    介護者の更なる負担軽減や、仕事と介護の両立の観点から、更に延長加算の対象範囲が拡大され、最大14時間までが評価対象とされました。

【時間区分の見直しと延長加算の変遷】

時間区分の見直しと延長加算

出典:第141回社会保障審議会介護給付費分科会

人材確保が深刻で延長加算を算定できない

しかし、厚生労働省の思惑通りとはならず、延長加算を算定していない事業所の48.1%が、今後も「算定する予定はない」と答えています。

その理由は、「該当時間帯を担当する職員が確保できない」が最も割合が高く、次いで「職員を配置し実施しても採算が確保できない」が続いています。

【延長加算を算定していないデイサービスの状況

画像の説明

出典:第141回社会保障審議会介護給付費分科会

21日の介護給付費分科会において、デイサービスにおける夜間帯のサービス提供体制の充実などが論点として示されました。

しかし、「人手不足が深刻で現実的でない」という意見や「悪質なサービスを助長しかねない」などの意見が出ています。

一億総活躍社会の構築に向けた提言(平成29年5月10日自由民主党一億総活躍本部)において、デイサービスの「夜間帯の加算措置を十分に検討」としていますが、介護人材の確保が難しい状況で、夜間帯のサービス提供を充実されることは難しいのではないかという意見が多いです。



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