地域別の高齢者の状況と介護事業所の戦略

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こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

9月7日のブログで取り上げた次の資料は、介護事業者様にとって非常に重要な意味を持つものです。

そこで、なぜ重要であるかをご説明したいと思います。

【地域ごとの状況(都道府県別有効求人倍率(平成29年5月)と地域別の高齢化の状況)】

都道府県別の有効求人倍率

出典:第145回社会保障審議会介護給付費分科会資料

上の資料が意味することは

  1. 介護人材を確保することが、これからますます難しくなること。
  2. 大都市圏及びその周辺地域で、これから75歳以上の高齢者が増えること。
  3. 利用者が団塊の世代に移行するにしたがって、介護事業者はサービスの内容を変えないといけないこと。

介護人材の確保がますます困難

下のグラフをご覧ください。

2010年を100として、75歳以上の後期高齢者の増減割合を赤い線で示し、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少割合を青い線で示しています。

生産年齢人口は、介護の担い手になる介護人材の年齢層です。

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出典:介護予防・日常生活支援総合事業への移行のためのポイント解説(概要版)
http://www.murc.jp/uploads/2015/05/koukai_140518_c2_02.pdf

このグラフは、何を意味しているのか?

いま介護人材を確保することが、非常に難しい状況ですが、これがさらに厳しくなるということです。

景気が悪化し働く職場が少なくなると、介護の仕事をする人が増えるという現象があるでしょうが、それは長期にわたって不景気が続かないかぎりは、一時的な現象で終わってしまいます。

そもそも上のグラフは、景気に左右されることなく、人口統計から確実に起る現象です。

介護人材を確保できた介護事業所が、生き残れることを意味します。

その結果、介護事業所は二極化すると予想されます。

すなわち、介護職員の処遇改善等に資金的に余裕のある大手の介護事業所には、介護人材が集まりやすく、そうでないところでは集まりにくいという現象が起きてきます。

介護事業所に就職する場合、どの事業所を選ぶかの判断基準で一番分かり易いのが、給料などの条件面です。

条件面で有利な大手介護事業所には、人が集まります。

一方、大手以外で生き残れる事業所は、家族や気の合う仲間の少人数でやっていて、規模拡大を望まず人の採用も必要のない事業所で、地域の利用者に信頼を得ているところです。

この様にして、介護事業所は二極化していき、二極化になれない介護事業所が廃業に追い込まれます。

高齢者の増加は大都市の問題

下の資料で、今後75歳以上の高齢者が増加する割合が高い都道府県は赤字で示され、低い都道府県は黒字で示されています。

都道府県別の高齢者(75歳以上)人口の推移
【資料】2010年高齢者人口:「平成22年国勢調査」(総務省統計局)
2025年高齢者人口:「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)

赤字で示されている都道府県は、大都市及びその周辺の都道府県で、団塊の世代(1947年~1949年生まれの人)が、集団就職で移り住んだところです。

介護事業者が新規に利用者を獲得するには、すでにどこかの介護事業所を利用している高齢者を対象とするのではなく、これからどこの介護事業所を利用しようか検討している高齢者を対象としなければなりません。

その対象とする高齢者が増える地域に、事業所を開設するのが将来性があります。

利用者の中心が団塊の世代に移行する

いままの利用者の中心であった戦前生まれの高齢者の特徴は、みんなと一緒に集団行動する人たちです。

自己主張はせず我慢する人たちですから、みんなで歌を歌ったり体操をしてくれます。

しかし、団塊の世代は戦前の人に比べ、自己主張がハッキリしており、好き嫌いを言います。

自分の好みに合わない事業所は利用しません。

介護事業所は、団塊の世代が利用者として増えてくれば、その利用者の個々の好みに合ったメニューをそろえておかないと、嫌われてしまいます。



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