第151回社会保障審議会(介護給付費分科会)傍聴取材メモ~特養の入所者の医療ニーズ~

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こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

15日の介護給付費分科会を傍聴し、取材した内容をまとめて記述しています。

適宜省略(感情論だったりするところ)や言葉が足りない部分を加筆したレポートです。

なお、発言の主旨を変えるような変更はしていません。

論点1対応策(1)についての各委員の意見の要旨

入所者の医療ニーズへの対応について

出典:第151回社会保障審議会介護給付費分科会資料

鈴木邦彦委員(公益社団法人日本医師会常任理事)の意見

(1)について。

主旨としてはいいと思う。

方向として、診療と言うのは、配置医師には、協力病院等の医師であることが必要だと思うし、また協力病院には、地域包括ケアを支援する病院であるというのも必要。

それとともに、看護体制加算(Ⅱ)については、併設型の生活ショートと合計の利用者数を配置基準とする要件の緩和が必要だと思う。

これについて、看護師については、現在、介護分野では、看取りなどのニーズの増加に対し、不足している状況が続いている。

今回の審議を見ても、さらに看護師を増やすような方向が含まれている風に思う。

一方、今般の若年層の減少により、高度急性期のニーズは低下していくので、急性期の大病院のダウンサイジングは必要になってくると思う。

それに伴い、徐々に地域に看護師が移動してもらう必要があると考える。

その際には、いきなり介護に行け、というのは難しいと思いますので、まずは、地域医療構想における医療機関の機能分化の連携における整合性をとった上で、まず地域包括ケアを支える中小医療機能の訪問看護ステーション、訪問看護の支援を目的に執行してもらい、その後、業界の連携によりさらに少しずつ介護施設へ移動してもらうのが現実的だと思う。

本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)の意見

対応案(1)の中の【新設する要件】①では『医師と施設で具体的な取り組みをし』、⑤で『診療を行う必要がった理由を記録する』とあるが、利用者や家族の意向を汲み取る要件が入っていない。

大事なことは、利用者や家族の意向に沿って、施設内で過不足ないよう提供されるという事なので、そうした考え方からすると看取り期を含めた緊急時の診療報酬に関する入所者家族の意向を汲み取る要件も設定する必要があるのでは。

瀬戸雅嗣委員(公益社団法人全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)の意見

(1)については、このような対応はありがたい。

事前の取り組みや指導を行う場合の理由の記録について、施設、医師、それぞれ過度に用紙の記入等の負担が増えることのないように、ぜひ、一定のモノを示す、あるいは自治体保険者に対しても、指導してほしい。

齋藤訓子委員(公益社団法人日本看護協会副会長)の意見

基本的には、このような対応案でいいと思う。

ただ、対応案(1)のドクターの件。

特に、介護施設で働くナースたちから聞くのが、夜中に呼ばれるのが非常にツライ、という事。

これを受けて、最期は、救急車で病院に運んでほしいという指示がでてしまうと聞いている。

今回の対応案は、現場で十分な看取り体制をとって、職員も基準よりは配置して頑張っている施設が評価されるようにはなっていることなので、この対応案でよいかと思う。

そもそも、今後、医療体制の改革等があって、介護保険で医療ニーズが高い人たちをどう受け止めていくかを考えたときに、各施設では、配置医や看護職、介護職の採用も難しい、人材確保に苦慮していると聞いているので、今回の対応案で、看取りが本当に進むかという検証が必要だし、今後は、地域単位で、人材をどう活用していくかという検討が必要になってくると考える。

稲葉雅之委員(民間介護事業推進委員会代表委員)の意見

考え方は賛成だが、訪問診療や看護師がいないとか、往診でのケアだとか、以前の検討会で、非常勤医師が週に4時間くらいしかいないのが7割あったり。

医師の働き方改革も考えて、加算によって具体的な連携についての取決めだとか、施設を増やしても、実際に診療が行われるのか、というと若干懸念がある。

加算をただ増やすだけではなく、きちんと機能させることと、煩雑さを増やすだけという事には、ならないようにしないといけないと思う。

これについて、対応策(5)が関連するわけだが、実際に看取った場合の評価は、理解できる。

その際、看取りという大切な場面に対応する職員に対する研修体制も重要だし、心理的ストレスに対する負荷を考えて、職員の確保とか離職防止の観点から待遇への反映をきちんと考えていく必要があると思う。

留意事項に明確に書くとか、検討する必要があると思う。

論点1対応策(2)についての各委員の意見の要旨

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出典:第151回社会保障審議会介護給付費分科会資料

本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)の意見

対応案(2)の常勤医配置加算について、ユニット型施設と従来施設、一名の医師の配置のより双方の施設で加算できる要件が緩和させるという事だが、入所者の利用ニーズの対応が担保されることが重要なので、『一体的に運営されている場合』と表現されていますが、その辺の要件を明確に定め、偏った利用のされ方がされないようするべき。

さらに要件緩和後の報酬については、適正な報酬設定がされるべきだ。

稲葉雅之委員(民間介護事業推進委員会代表委員)の意見

(2)の常勤医師配置加算だが、今、常勤医師の配置は1.1%と数字が示されている。

ユニット型と従来型施設の併設で、一体的運営が行われていれば、一人の医師でもいいというところで、加算するポイントを増やす、という点は理解できなくもないが、その際単位数については、きちんと考えていく必要があると思う。

論点1対応策(4)についての各委員の意見の要旨

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出典:第151回社会保障審議会介護給付費分科会資料

瀬戸雅嗣委員(公益社団法人全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)の意見

(4)夜間職員配置加算について。

介護職員の配置や特定認定行為業務事業者の配置が要件になっているが、その配置の必要性に関しては理解するが、特定認定行為業務事業者の研修課程や対象者がいないという事で、確保が難しい状況になっている。

そのために、特定認定行為業務事業者を毎日配置しないと算定できないというのは、特定の従事者に夜勤業務が偏ってしまうことがあるので、たとえば、看護体制加算(Ⅱ)を算定している施設であれば、月で夜間時間帯を通じて夜間常勤換算1以上配置しているというような評価があってもいいのかと思う。

合わせて、この特定認定行為業務事業者の研修についても一定の見直しを検討してほしいい。

稲葉雅之委員(民間介護事業推進委員会代表委員)の意見

(4)夜間職員配置加算については、職員の処遇も考え行く必要があると思う。

論点1対応策(5)についての各委員の意見の要旨

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出典:第151回社会保障審議会介護給付費分科会資料

本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)の意見

対応案(5)看取りに関しては、本人の意志があるないにかかわらず、医療機関への搬送に搬送され望まない医療を受けることは問題なので、本人・家族の希望に沿って、実際に看取る場合の評価があることは、支持する。

その上で、P12の看取り対応の強化のところで、看取り加算の算定状況が出ており、死亡日を算定した数が、結果的に施設で最期まで看取ったケースとして考えていいのか?

看取り介護加算の取得に関し、最期まで看取った割合があれば、教えてほしい。

関連しまして、P11の右側の施設の看取り方針というところを見ると、「希望があれば施設内で看取る」というのが78%ある。

その一方、「原則、病院などに移す」が約16%ある。

現行の看取り加算の算定要件が9割との事だが、最期まで看取らなくても、現実的には算定できる、という事になっている。

本来であれば、最期までみとった場合に、算定できるようにするべきである。

現行の看取り加算の算定要件についても、最期までみとった入所者の割合を算定要件に含めるなど、アウトカント評価も行うべきだ。

瀬戸雅嗣委員(公益社団法人全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)の意見

(5)について、特養施設内での看取りを促進する観点で、大変よい方向だ。

看取り加算に関しては、看取りできる環境、体制を整えていることが評価に値するわけであって、体制を整えているのにもかかわらず、最期の段階で、急変した等によって特養で看取れなかった、というところに関して、それを評価されなくなるということでは、看取りに対しての現場の姿勢をうばうことになりかねないので、最期の一日というのを評価してもらえるのは、大変ありがたいと思う。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)の意見

看取り関係は重要。

複数の配置医師による早朝・夜間における医療的な対応であるとか、夜間の看護職員の配置など、まずは施設にとって容態急変の際に、一時的な対応を行えるようにしておくべきであると考える。

その際、(5)実際に老人福祉施設で看取った場合に、評価されることはいいと思う。

一方で、診療報酬改定する点においては、在宅で療養している患者が、在宅の主治医と、病院との連携の元で、本人の希望に基づき、入院で看取った場合、在宅療養での主治医の評価も検討するべき。

今回は、6年に一度の同時改訂ですので、介護報酬の観点からもこうした診療報酬と同様に評価するべきではないかと思う。

本人の意志とは違う事由で入院するときのミスマッチも防止できると考え、結果的に医療介護を通じた費用の適正化にもつながるものだと思う。



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