「老計10号」の改正により身体介護の範囲が明確化

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

平成30年1月26日に開催された介護給付費分科会において、訪問介護の「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化の方針が、次の通り打ち出され、「身体介護として明記されていないものがあり、取扱いが明確でないため、明確化」するとしていました。

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出典:第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料

上記を受けて、「老計10号」が次の通り改定され3月30日に公表されました。

左側が改正後、右側が現行、赤字下線部分が改正部分
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出典:介護保険最新情報vol.637

重度化防止やIADL、QOLの向上が新たに加えられ、身体介護になる「見守りてき援助」については、次の8つが追加され、計15つとなっています。

  1. ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う。
  2. 認知症等の高齢者がリハビリパンツやパット交換を見守り・声かけを行うことにより、一人で出来るだけ交換し後始末が出来るように支援する。
  3. 認知症等の高齢者に対して、ヘルパーが声かけと誘導で食事・水分摂取を支援する。
  4. 本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す。
  5. 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
  6. ゴミの分別が分からない利用者と一緒に分別をしてゴミ出しのル
    ールを理解してもらう又は思い出してもらうよう援助
  7. 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行うベッドで
    のシーツ交換、布団カバーの交換等
  8. 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う衣類の整
    理・被服の補修

なお、上記はあくまでも事例であって、次の文章が付け加えられています。

上記のほか、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うもの等であって、利用者と訪問介護員等がともに日常生活に関する動作を行うこと、ADL・IADL・QOL向上の観点から、利用者の自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置付けられたもの

この判断はケアマネさんに委ねられることになりますので、訪問介護事業所としては、いかに利用者の自立支援・重度化防止につながるかということをケアマネさんに説明できるかが重要になってきます。

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