財務省が介護保険の利用者負担、原則2割を提案【テキスト+動画】

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

今回は、財務省が4月25日に財政制度分科会というのを開催しまして、その分科会において公表された資料をご説明したいと思います。

財務省の介護保険の利用者負担原則2割の提案

資料の7ページに介護保険の利用者負担についてという項目がありまして、ここで財務省の主張が展開されています。

それを見ていきたいと思うのんですが、一番、財務省が言いたいところは、一番下のところの改革の方向性というところです。

読み上げますと、「制度の持続可能性や給付と負担のバランスを確保する観点から介護保険サービスの利用者負担を原則2割とするなど段階的に引き上げていく必要」と書かれていまして、ここに財務省の主張が書かれております。

特に介護保険サービスの利用者負担を原則2割とするという具体的な提案がなされています。

この提案の根拠になる資料が、上の3つのグラフで示されています。

一つ目が、介護保険県の費用の内訳という項目、二つ目が年齢階級別人口と要介護認定率、3つ目が介護給付費とGDP比の推移です。

この3つの資料に基づいて、介護保険サービスの利用者負担を原則1割から2割に引き上げたいとしています。

一つ一つ見ていきたいと思うんですが、まず介護保険の費用の内訳です。

介護保険の費用の内訳

これ今の現状を示しておりまして、金額は平成30年度予算ペースと書いてありますから、平成30年の4月から来年平成31年の3月までの予算ベースで表しています。

介護費用は、11.1兆円と総額になるわけですけれども、そのうちの半分5.6兆円は公費、すなわち国や都道府県、市町村が負担します。

残り半分を利用者が0.8兆円(7.5%)、それから1号保険料を2.3兆円で21.1%。、1号保険料というのは介護保険料を負担する65歳以上の1号被保険者が払う保険料です。

2号保険料2.3兆円20.9%は、40歳から64歳の人、いわゆる2号被保険者といいますが、この2号被保険者が負担する介護保険料の総額です。

この利用者負担と1号保険料及び2号保険料と合わせて、全体の約半分、残り半分を国や都道府県、市町村が負担しています。

そして利用者負担は、1割負担が、439万人、2割負担者が45万人、そして3割負担が12万人と、このようになっています。

現役並み所得高齢者は8月から3割負担

なお3割負担12万人については、平成30年5月時点では導入されていませんが、平成30年の8月から3割負担が導入される予定です。

現役世代並みの所得がある高齢者が、介護保険サービスを利用した場合、今は2割ですが、それを3割に引き上げようと検討されておりまして、今年8月から本格的に導入されるという方向になっています。

現行は、単身で年金収入だけの場合で、年収が280万円以上になると自己負担は昨年8月から2割に引き上げられていますけれども、それが今年の8月から一部3割負担となるということになります。

年齢階級別人口と要介護認定率

続いて年齢階級別人口と要介護認定率のグラフを見ていきたいと思うんですが、65歳から69歳までの人口が、10,276千人で要介護の認定を受けている人の割合は3%です。

70歳から74歳の人口は7,407千人で、要介護認定率は6%です。

当然年齢が高くなればなるほど要介護認定率は、高くなるわけですけど、ちなみに95歳以上になるともう93%の人が、要介護認定を受けているということになっています。

平均では、65歳以上の認定率は18.6%で約2割弱ということになってますけど、年齢が高くなれば、要介護認定率は上がっていきます。

年齢が高くなると年齢別の人口は減っていきますが、要介護認定率は上がっていくとこういう関係になっています。

介護給付費とGDP比 の推移

続いて介護給付費とGDP比 の推移ですが、平成27年度で介護給付費は
10兆円弱で、GDP比でいうと1.7%ということになります。

これが平成37年(2025年)になると介護給付費は20兆円に近付き、GDP比が2.6%になります。

平成53年(2041年)になると、30兆円程度になりGDP 比3.9%となります。

この辺りになると、GDP比に占める介護給付費の割合が非常に高くなり、社会保障制度自体を維持することが困難になるという財務省の危機感から、今回、利用者負担2割という提案がなされています。

なお2025年頃になると団塊の世代が75歳以上になりまして、それ以降30年間は75歳以上人口は増えないんですけども、年齢が高い人の比率が増えていき、要介護認定受ける人が増えていきます。

年齢の高い人が増えるために要介護認定率が高くなるために、介護給付費が増えることになります。

このままでは、介護費用の財源がパンクしまう、その財源をどうしたらいいか?

一つの案として財務省は原則、利用者負担割合を2割にすることを提案しています。

社会保障制度が維持できる制度の維持可能性ということですけど、次回の制度改正で実際に導入されるかどうかはまだ不透明ですけれども、もうすでに次の制度改正に向けて財務省は意見を表明しているというところに注目していきたいと思います。

上記テキストは、次の動画を文字起こししたものです



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