居宅介護支援の特定事業所集中減算の見直し

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

正当な理由なく、特定の事業所だけを9割以上ケアプラン に入れる様なケースがある場合は、減算対象になります。

これを特定事業所集中減算と言いますが、それが次の様に見直されそうです。

画像の説明
出典:第115回(平成26年11月19日)の社会保障審議会介護給付費分科会

高齢者住宅に介護事業所を併設している場合は、ケアマネさんは基本的に自社の介護事業所をケアプランに入れる様に経営者に言われ、言われるままにしているケースが多いです。

例えば、1ヶ月に40人の利用者がいたとしたら、ケアマネさんは90%の36人までを同じ事業所にし、残りをの10%である4人を他の事業所のプランにするといったケースです。

ところが、今回の改正でこの90%が見直され、引き下げそうです。

例えば、80%とかです。

特定事業所集中減算の見直しによる影響

そうなると、次の様なことが起きるのではないでしょか?

まず一つは、ケアマネさんへの営業がしやすくなります

外へ回す率が増えるので、訪問介護事業所やデイサービスに併設している居宅介護支援事業所に営業すれば、今までとは違って紹介してもらえる確率は高くなると思われます。

二つ目は、併設している居宅介護支援事業所を閉鎖する事業所が、出てくる可能性があります。

一人ケアマネの場合は、経営実態調査からも明らかな様に赤字経営のところが多いです。

赤字でも居宅介護支援事業所を併設するのは、自社にケアマネを通じて利用者を呼び込むためです。

しかし、呼び込むことができる率が下がれば、営業部門と割り切って赤字でもかまわないと思っていた経営者が、効果が薄れたとして併設している居宅介護支援事業所を廃業するかもしれません。

特定事業所集中減算は、すべての介護サービスに範囲が拡大される

特定事業所集中減算は、今は次の3のサービスに限定して算定されます。

  1. 訪問介護
  2. 通所介護
  3. 福祉用具貸与

今回の改正で上の3つのサービスに限定されていた特定事業所集中減算は、その対象サービスの範囲が限定されず全てになります。

そうなると定期巡回・随時対応型訪問介護看護の場合は、特定の事業所に集中しているケースがほとんどなので影響を受けるでしょう。

(ご参考)正当な理由による特定事業所集中減算の適用除外

正当な理由があれば、特定の事業所に90%超のケアプランを集中しても減算の対象になりません。

その正当な理由とは、次の通りです。
特定事業所集中減算の適用除外の正当理由

(ご参考)特定事業所集中減算の現状

高齢者住宅で利用者の囲い込み

高齢者住宅で特定事業所集中減算を算定している事業所が、多くなっています。

たとえば、下の図で左側が訪問介護の特定事業所集中減算の算定状況ですが、全体で2.2%に対して高齢者住宅では8.3%と高くなっています。

右側の通所介護についても、同様の傾向にあります。
画像の説明
出典:第115回(平成26年11月19日)の社会保障審議会介護給付費分科会

特定事業所集中減算の算定の対象にはなっていないケースを含めると、高齢者住宅の居住者の多くは併設されている事業所を利用しているものと想像されます。

今回の改定では、高齢者住宅の囲い込みや過剰サービスが問題として挙げられており、特定事業所集中減算の見直しもその対策の一つです。

紹介最高法人の占める割合

紹介率最高法人とは、たとえば訪問介護を提供する法人うち最も多い法人をいいます。

下のグラフの左側は、訪問介護事業所に併設されている居宅介護支援事業所の紹介率最高法人の集中度合別の事業所割合を示したものです。

画像の説明
出典:第115回(平成26年11月19日)の社会保障審議会介護給付費分科会

訪問介護事業所に居宅介護支援事業所が併設されている場合、紹介率最高法人の占める割合の平均は69.8%と高い割合を示しています。

紹介率最高法人への集中度別の事業所割合を見ると

  1. 85%以上90%未満で7.3%
  2. 90%以上95%未満で3.7%

で90%以上になると急に割合が下がります。

こうような現象は、グラフの右側の通所介護でも同様です。

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松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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