居宅介護支援は特定事業所加算を取得しないと黒字にならない
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
昨日のブログで、居宅介護支援事業所は「利用者100人が黒字になる分岐点で、それを越えると黒字になり、その分岐点が特定事業所加算です。」と書きました。
今日は、この点について説明します。
事業規模と収支差率の関係
次のグラフは、平成26年介護事業経営実態調査結果から作成したものです。
【居宅介護支援の年度別規模別収支差率】
平成26年を見ると、赤字から黒字になる分岐点は、利用者「101~150人」で、
- 「20人以下」の収支差率マイナス27.5%
- 「21~40人」の収支差率マイナス19.6%
- 「41~60人」の収支差率マイナス10.4%
- 「61~80人」の収支差率マイナス7.7%
- 「81~100人」の収支差率マイナス8.1%
- 「101~150人」の収支差率プラス2.6%
- 「151~200人」の収支差率プラス8.5%
- 「201人以上」の収支差率プラス5.7%
100人を超えると赤字から黒字に転換します。
平成26年以外の年度も、概ね同様の傾向にあります。
特定事業所加算の取得と収支差率との関係
特定事業所加算の取得要件として、介護支援専門員が常勤専従で3人以上必要です。
3人ですと1人がケアプラン35件とすると、3人×35件=105件となり100人を超えます。
すなわち、特定事業所加算を取得することで、黒字になりやすくなると言えます。
1人あたりケアプランを35件取れるという前提ですから、特定事業所加算を取得できたからといって、必ずしも黒字になるわけではありません。
なお、以上説明したのは平均的な数値をもとにしていますので、個々のケースでは少し違いがあるかもしれません。
いずれにしても、居宅介護支援に限らず規模を拡大することが、介護事業所が利益を出す方法であり、厚生労働省も規模拡大に向けた施策を打ち出しています。
昨日のブログで書きましたように、特定事業所加算が取れなかった理由として、一番多かったのが「利用者のうち中重度(要介護3~5)の占める割合が5割以上でない」ということでした。
厚生労働省は今回の改正で、居宅介護支援の規模拡大のため特定事業所加算を取得しやすい様に、「利用者のうち中重度(要介護3~5)の占める割合が5割以上」という要件を緩和しようとしているのではないでしょうか?
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