銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~まずは銀行の現状を知ること~

こんにちは。大阪の介護専門税理士に松本昌晴です。

金融検査マニュアルは、すべての金融機関のバイブルとして機能し、金融機関はこれを遵守してしてきました。

その金融検査マニュアルが廃止される方向で動いていますが、実質的には既に運用は停止されています。

まず、このことを理解しなければ、銀行との有利な交渉はできません。

金融検査マニュアルの弊害

金融検査マニュアルは、平成8年から10年にかけて山一證券や北海道拓殖銀行が経営破綻するという状況の中で、当時の金融監督庁(現金融庁)が金融機関が抱えている不良債権を把握するために作成したものです。

当時としては、それで良かったのですが、あまりにも金融機関が金融検査マニュアルを遵守したため、今となっては弊害の方が大きくなってきました。

例えば、次のような弊害が挙げられます。

  1. ある金融機関が金融検査マニュアルにしたがって査定して、融資ができないと判断すると、他の金融機関でも同じ金融検査マニュアルにしたがって査定をしますので、他の金融機関でも融資を受けられないという結果になってしまいます。
  2. あまりにも金融検査マニュアルに記載されている財務指標のみで評価してしまい、本来の実質的な企業の評価ができていませんでした。そのため成長性が期待される企業とか、改善途中の企業などが評価されませんでした。

金融検査マニュアルの廃止と地域金融機関としての役割

この様な弊害に対して金融庁は、抜本的に次の改革をしようとしています。

2016年の金融庁の地域金融機関への指導内容

  1. 地域金融機関の独自判断を認める
    メガバンクや日本政策金融公庫などの政府系金融機関を除いた、地銀や信用金庫、信用組合は、金融検査マニュアルに従わなくても、独自の判断で融資しもよくなりました。
  2. 地域経済・企業への貢献
    金融検査マニュアルに従わず、地域金融機関の独自判断が認めれるようになったとはいえ、地域経済や地域企業へ貢献することが求めらます。
  3. 地元重視
    地元で融資先がないということで、隣の都市に支店を新たに開設をして、いわゆる越境営業をしていましたが、それが禁止されます。地元に融資先がなければ、地元の経済を興すところから手掛けることが求められます。地元とともに歩まない銀行は、銀行として認めないという、金融庁の強いメッセージです。
  4. 借り手の成長性を評価する(事業性評価)
    貸し手である金融機関の保全ではなく、借り手の成長性を評価し融資を実行することが評価されます。
  5. 収益力の低い金融機関は統合対象
    今までは金融検査マニュアルに従って、不良債権の金額や貸倒引当金の金額を考えなければならなかった金融機関が、今後は地元に回帰して収益という目標を達成することが求められます。一般的な企業が行っている活動とまったく変わりません。利益を生み出せない金融機関は統合の対象になる。

「2016年の金融庁の地域金融機関への指導内容」を理解すること

以上を理解すれば、自ずと銀行から有利な条件で、いかに融資を引き出すことができるかが分かります。

すなわち、銀行にいかにして適切な収益(金利や手数料など)を提供しながら、銀行を競わせて有利に引き出すかということが理解できます。

これからは、金融機関に対する見方を変えなければないません。

今までは金融機関と言えば、お金を貸すということで、融資先に強い立場でした。

しかし、これからは金融機関はお金の仕入れ先として、材料や商品などの仕入れ先と同じと考えるべきです。

そうであるならば、競わせるのが当然で、特別に変わったことではありません。

次回以降のブログでは、銀行に競わせながらいかに有利な条件で融資を受けるかというテクニックについて解説していきます。

このブログに関連する記事

銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~銀行にいかにして適切な収益を提供できるか~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~武器になる振込件数や振込入金件数~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~逆に金利を上げて手数料を下げる交渉もあり~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~一行取引にメリットはない競わせることはOK~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~銀行員のプライドに配慮すること~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~銀行員が動かざるを得ない状況にする~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~銀行に競わせるための話法~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~銀行員が飛び込み営業に来たらチャンス~
銀行から有利な条件を引き出すためのテクニック~いまの銀行との関係を見直す~



a:1466 t:1 y:1