ローカルルール

介護保険法(保険者)第三条「市町村及び特別区は、この法律の定めるところにより、介護保険を行うものとする。」の条文は、介護保険法の地方分権での制度推進を定めています。

国が作った法律の運用を市町村が行うという地方分権制度の結果として、介護保険法の運用上で様々なローカルルールを存在させることとなりました。

介護保険法の仕組みとして、市町村の判断で自由な制度設計が出来るシステムとなっています。

市町村の判断で標準給付を超えた額に給付額を設定出来たり、独自に法定外サービスを追加することも出来ます。

また、介護保険に一般財源の投入を行う事が出来、一部給付制限を行うことも出来ます。

一号保険料負担は市町村の裁量に委任されています。

介護保険法とは、基本部分のサービスを保障する一定標準であり、地域の福祉資源を組み合わせて地域が選択する地域ごとの最適状態を構築するシステムとなっています。

そのために保険者は市町村となります。

ローカルルールの問題点

しかし一方で介護事業者に対する行政指導等に関しては、このローカルルールが余り適正とは言えない状況になっているという現実があります。

例えば、保険者毎に介護保険法、省令、通知などの運用に関するQ&Aが存在し、実地指導等に於いても、その指導内容に地域差が生じています。

A市で認められている事が、隣のB市では認められないという事が現実に起こっています。

2008年2月27日に開かれた厚生労働省「全国担当課長会議」において、厚生労働省側から都道府県と市町村の実地指導担当者に対して、「現行の指導監督の最大の問題点は、自治体や指導担当者による「ばらつき」である。

本来の「指導」とは、規準違反や不正請求などを疑う監査とは異なり、利用者本位の立場からより良いケアの実現に向け、事業者のサービスの質の向上、育成を第1目的に、介護保険法第23,24条に基づき実施すべきものであります。

ところが自治体や担当者には、この理解が不十分なまま、法令を過度に厳格に捉えたり、介護報酬の返還のみに偏っている現状が見受けられる。

都道府県、市町村は事業者に法令順守を訴える立場を自覚し、自らが法に基づいた適切な指導監督を実施すべきである」との指摘が行われました。

指導と監査の混同が現場サイドで行われていることを指摘したものです。

行政サイドの指導が100%正しいと言うことは無いのです。

介護事業者は行政側の指導や発言に盲目的に従うばかりではなく自ら制度を学ぶことが必要です。

納得できない行政の指導や発言には必ず根拠を確認することが大切です。

それに対して自らも法律等の根拠を明確にして発言、確認、意見する事が求められています。


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