以下は、平成24年介護報酬改定の内容です。

訪問介護

改定のポイント

これまで算定出来なかった、20分未満の時間区分の創設に関しては、介護保険法改定で創設された定期巡回随時対応型訪問介護看護への移行の布石という見方もあります。

一般の訪問介護事業所が20分未満の算定できるのは、夜間・深夜・早朝の身体介護に限られ、かつ生活援助を続けて行うことが出来ません。

日中においても20 分未満の算定をするためには、

  1. 定期巡回随時対応訪間介護看護をすでに運営しているか、
  2. その計画がある事業所で、かつ営業時開が朝の6時から夜の10時までとしなければならない
    など、高いハードルが設定されています。

また、今回の改訂で時間区分が60分から45分に基準時間が変更された生活援助の変更については、掃除の提供時間の評価が15分削減されたことによります。

生活援助については、今後も縮小される方向が予想されます。

訪問介護のとるべき対策・経営戦略としては、

  1. 家政婦やハウスキーパー等の自費サービスをもう一つの経営の柱に据えることや、
  2. 身体介護中心のサービスへの早期のシフト
    などの検討が必要です。

今回創設された2級ホームヘルパーのサービス提供責任者配置減算が今後の訪問介護の事業経営においては大きな経営リスクとなります。

サービス提供責任者にヘルパー資格者を任用した場合、報酬全体が10%の減算となる減算規定に対応するために、自事業所での介護福祉士育成システムを構築する事が急務となります。

また、同一建物に所在する事業所への減算も、ここ数年急增している高齢者住宅プラス介護事業所というビジネスモデルにとっては大きな方向転換を余儀なくされる改定です。

この減算の創設によって、今後はサービス付き高齢者向け住宅プラス定期巡回随時対応型訪問介護看護というビジネスモデルが高齢者住宅における主流となっていくことが予想されます。

生活援助の比較

生活援助単独の場合

現行の単位4月以降の単位比較
30分以上60分未満 229単位/回20分以上45分未満 190単位/回▲17.0%
60分以上 291単位/回45分以上 235単位/回▲19.2%
現行60分未満 229単位/回45分以上 235単位/回 2.6%

身体介護に引き続き生活援助を行う場合

現行の単位4月以降の単位比較
30分以上 83単位/回20分以上 70単位/回▲15.6%
60分以上 166単位/回45分以上 140単位/回▲15.6%
90分以上 249単位/回70分以上 210単位/回▲15.6%

※所要時間が20分から計算して25分を増すごとに70単位(最大210単位)

時間が短縮されただけで、時間単価が下がったのではない

単位最低時間1分単価60分換算
  身体1   254   30分   85   5100
  身体2   402   60分   67   4020
  旧・生活2   229   30分   76   4560
  旧・生活3   291   60分   49   2940
  新・生活2   190   20分   95   5700
  新・生活3   235   45分   52   3120

・従来型生活3 60分 → 2940円
   新生活2 45分×2回 3600円 ※2時間ルール
・新生活2 20分 → 1900円
 新生活3 45分 → 2350円
          計 4250円

特定事業所加算という選択

特定事業所加算120%共通+(1)~(3)
特定事業所加算210%共通+(1)又は(2)
特定事業所加算310%共通+(3)

共通要件

  1. 研修の実施
  2. 会議、伝達、報告
  3. 健康診断
  4. 緊急時対応

(1)介護福祉士の占める割合が30%以上又は介護福祉士、基礎研修課程修了者及び1級課程修了者の占める割合が50%以上。
(2)すべてのサ責か3年以上の実務経験を有する介護福祉士又は5年以上の実務経験を有する基礎研修課程修了者又は1級課程。1人を超えるサ責配置事業所は、常勤のサ責を2名以上配置。
(3)要介護4又は要介護5並びに日常生活自立度ランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する者が占める割合が20%以上。


改定の概要

報酬体系

改正前


身体介護 30分            254単位
 30分以上1時間未満          402単位
 1時間以上          584単位
生活援助 30分以上1時間未満          229単位
 1時間以上                291単位

上記の身体介護に引き続き30分以上の指定訪問介護を行ったとき、30分を増すごとに83単位を加算
・30分以上 83単位 ・60分以上 166単位 ・90分以上 249単位

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改正後


身体介護 20分未満(新規)        170単位
 20分以上30分未満          254単位
 30分以上1時間未満          402単位
 1時間以上          584単位
生活援助 20分以上45分未満          190単位
 45分以上                235単位

上記の身体介護に引き続き20分以上の生活援助を行ったとき、20分から計算して25分を増すごとに70単位を加算
・20分以上 70単位 ・45分以上 140単位 ・70分以上 210単位


※算定要件(身体介護(20分未満))
以下の①又は②の場合に算定する。
①夜間・深夜・早朝(午後6時から午前8時まで)に行われる身体介護であること。
②日中(午前8時から午後6時まで)に行われる場合は、以下のとおり。

<利用対象者>

  1. 要介護3から要介護5までの者であり、障害高齢者の日常生活自立度ランクBからCまでの者であること。
  2. 当該利用者に係るサービス担当者会議(サービス提供責任者が出席するものに限る。)が3月に1回以上開催されており、当該会議において、1週間に5日以上の20分未満の身体介護が必要であると認められた者であること。

<体制要件>

  1. 午後10時から午前6時までを除く時間帯を営業日及び営業時間として定めていること。
  2. 常時、利用者等からの連絡に対応できる体制であること。
  3. 次のいずれかに該当すること。
    1. 定期巡回・随時対応サービスの指定を併せて受け、一体的に事業を実施している。
    2. 定期巡回・随時対応サービスの指定を受けていないが、実施の意思があり、実施に関する計画を策定している。


特定事業所加算

改正前

人材の質の確保や訪問介護員(登最を含む)の活動環境の整備、中重度への対応などを行つている事業所について加算

Ⅰ 下記の算定要件
1~3全て適合する場合
Ⅱ 下記の算定要件
1・2に適合する場合
Ⅲ 下記の算定要件
1・3に適合する場合
所定単位数の20%加算所定単位数の10%加算所定単位数の10%加算



【算定要件】

  1. 体制要件
    ①すべての訪問介護員等に対して個別の研修計画を作成し、研修(外部研修の受講を含む)を実施又は実施を予定していること。
    ②サービス提供責任者が訪問介護員等に対し、サービス提供前に文書等確実な方法で、利用者に関する情報等の伝達を行うとともに事後に報告を受けていること。
    ③訪問介護員等の健康診断等を定期的に実施
  2. 人材要件
    ①事業所の訪間介護員について介護福祉士の割合が30%以上
    ②3級課程の訪問介護員がいないこと。
    ③サービス提供責任者の全てが5年以上の経験を有する介護副福祉士
  3. 重度対応要件
    ①算定日が属する月の前3月間における利用者の総数のうち要介護4要介護5である者の割合が20%以上

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改正後

※算定要件(変更点のみ)

  1. 重度要介護者等対応要件に「たんの吸引等が必要な者」を加えること。
  2. 人材要件に「実務者研修終了者」を加えること。


生活機能向上連携加算(新規)

自立支援型のサービスの提供を促進し、利用者の在宅における生活機能向上を図る。
新規

100単位/月
※算定要件

  1. サービス提供責任者が、訪問リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下「理学療法士等」という。)による訪問リハビリテーションに同行し、理学療法士等と共同して行ったアセスメント結果に基づき訪問介護計画を作成していること。。
  2. 当該理学療法士等と連携して訪問介護計画に基づくサービス提供を行っていること。
  3. 当該計画に基づく初回の訪問介護が行われた日から3ヶ月間、算定できること。


サービス提供責任者配置減算(新規)

サービス提供責任者の質の向上を図る。
新規

所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定
※算定要件
2級訪問介護員(平成25年4月以降は介護職員初任者研修修了者)のサーピス提供責任者を配置していること。
(注)平成25年3月31日までは、

  1. 平成24年3月31日時点で現にサービス提供責任者として従事している2級訪問介護員が4月1日以降も継続して従事している場合であって、
  2. 当該サービス提供責任者が、平成25年3月31日までに介護福祉士の資格取得若しくは実務者研修、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員1級課程の修了が確実に見込まれるとして都道府県知事に届け出ている場合に、
    本減算は適用しないこととする、経過措置を設ける。



(参考)サービス提供責任者の配置規定の改正

  1. 常勤の訪問介護員等のうち、利用者(前3月の平均値(新規指定の場合は推定数))が40人又はその端数を増す毎に1人以上の者をサービス提供責任者としなければならない。(平成25年3月末までは従前の配置で可)。
  2. サービス提供責任者は、介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、訪問介護員1級課程修了者又は訪問介護員2級課程修了者(介護等の業務に3年以上従事した者に限る。)であって、専ら指定訪問介護の職務に従事するもの(原則、常勤の者)を充てなければならない


同一建物に対する減算(新規)

サービス付き高齢者向け住宅等の建物と同一の建物に所在する事業所が、当該在宅等に居住する一定数以上の利用者に対し、サービスを提供する場合の評価を適正化する。
新規

所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定。
※算定要件

  1. 利用者が居住する住宅と同一の建物(※)に所在する事業所であって、当該住宅に居住する利用者に対して、前年度の月平均で30人以上にサービス提供を行つていること。
  2. 当該住宅に居住する利用者に行ったサービスに対してのみ減算を行うこと。
    (※)養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、旧高齢者専用賃貸住宅

介護予防訪問介護、(介護予防)入浴介護、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、夜間対応型訪問介護及び(介護予防)小規模多機能型居宅介護(前年度の月平均で登録定員の80%以上にサービス提供していること。)において同様。

介護予防訪問介護

報酬体系

改正前

  1. 介護予防訪問介護費(Ⅰ)     1234単位/月
  2. 介護予防訪問介護費(Ⅱ)     2468単位/月
  3. 介護予防訪問介護費(Ⅲ)     4010単位/月

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改正後

介護予防訪問介護については、サービスの提供実態を踏まえるとともに、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、利用者の自立を促すサービスを重点的かつ効果的に提供する観点から見直しを行う。

  1. 介護予防訪問介護費(Ⅰ)     1220単位/月
  2. 介護予防訪問介護費(Ⅱ)     2440単位/月
  3. 介護予防訪問介護費(Ⅲ)     3870単位/月


生活機能向上連携加算(新規)

利用者の在宅における生活機能向上を図る。

100単位/月

※算定要件
介護予防訪問リハビリテーション実施時に介護予防訪問介護事業所の
サービス提供責任者がリハビリテーション専門職と同時に利用者宅を訪問し、身体の状況等の評価を共同して行い、かつ、生活機能の向上を目的とした介護予防訪問介護計画を作成し、リハピリテーション専門職と連携して介護予防訪問介護を行ったときは、初回の当該指定介護予防訪問介護が行われた日の属する月以降3月の間、1月につき所定単位数を加算する。


サービス提供責任者配置減算(新規)

サービス提供責任者の質の向上を図る。

所定単位数に 90/100を乗じた単位数で算定

2級訪問介護員(平成25年4月以降は介護職員初任者研修修了者)のサービス提供責任者を配置していること。

(注)平成25年3月31日までは、

  1. 平成24年3月31日時点で現にサービス提供責任者として従事している2級訪問介護員が4月1日以降も継続して従事している場合であって、
  2. 当該サービス提供責任者が、平成25年3月31日までに介護福祉士の资格取得若しくは実務者研修、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員1級課程の修了が確実に見込まれるとして都道府県知事に届け出ている場合に、
    本減算は適用しないこととする、経過措置を設けること。


平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)


平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)


                             

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