労働時間について(ポイント3)

労働時間ポイント3

労働時間とは、使用者の指揮監督の下にある時間をいい、介護サービスを提供している時間に限るものではありません。

移動時間、待機時間等についても、以下のような場合には労働時間に該当し、使用者は適正にこれを把握、管理する必要があります。

移動時間の考え方

移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当します。

なお、通勤時間(下の例では①)はここでいう移動時間に該当しません。

移動時間の考え方

具体的には、指揮監督の実態により判断するものであり、例えば②又は③の移動時間であって、その時間が通常の移動に要する時間程度である
場合には、労働時間に該当するものと考えられます。

待機時間は、事業者が急な需要等に対応するために訪問介護員に待機を命じ、訪問介護員の自由利用が保障されていないと認められる場合は、労働時間にあたります。

介護サービスの提供に従事した時間に対して支払う賃金と、移動時間に対して支払う賃金額は、最低賃金額を下回らない範囲で、労使の協議により異なった金額を決めることは差し支えありません。

実測結果に基づき1回あたりの移動に係る賃金を定額制とすることは、実労働時間に基づき移動時間が超過した場合に超過分を支払うのであれば、差し支えはありません。

この場合、あらかじめ雇入通知書や就業規則で、この旨を明記する必要があります。

具体的事例

ケースA
このケースでは、Aさん宅での介護サービス開始時刻から、Bさん宅での介護サービス終了時刻までの時間のうち、休憩時間を除いたものが労働時間となります。

ケースB
このケースでは、Aさん宅での介護サービス提供時間、Bさん宅への移動時間及びBさん宅での介護サービス提供時間が労働時間となります。

移動時間はBさん宅への移動に要した時間であり、それ以外の「空き時間」については、その時間には労務に服する必要がなく、労働者に自由利用が保障されている限り、労働時間として取り扱う必要はありません(Aさん宅での介護サービス終了時刻からBさん宅での介護サービス開始時刻までの時間すべてを労働時間として取り扱う必要はありません。)。

ケースC

移動時間の賃金の計算

訪問介護の業務に従事した時間に対して支払う賃金額と、移動時間に対して支払う賃金額は、最低賃金額を下回らない範囲であれば、労使の話し合いによって決定することは差し支えありません。

例えば、過去3ヶ月間にわたり移動時間を把握した結果、特別の事情がない限り、1回当たりの移動時間が 15 分を上回らないことが判明した場合、移動1回当たり15 分に相当する賃金を支払うこととし、15 分を超えた場合には、超過した時間分の賃金を追加して支払うことは可能です。

この場合、雇入通知書や就業規則でその旨を明示する必要があります。

なお、定額制を取り入れても労働時間の把握は必要であるとともに、超過分を支払わないことは賃金の一部不払となります。

空き時間の工夫

空き時間は、従業員の自由が保障されていれば労働時間に含めなくても良いですが、その解釈については従業員との間で主張の違いが生じてしまう可能性がありますので、できるだけ空き時間がないようにしたいものです。

従業員とのトラブルを避けるため、たとえば空き時間は

  1. 報告書の作成
  2. 居宅支援事業所のケアマネジャーとのコミュニケーション
    などに当て、極力発生しないようにしてください。



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