大阪府 平成23年度 介護保険事業所に対する主な指導事項

居宅介護支援

基本方針

事業所の公正中立性の確保

○重要事項説明書に法人の経営する他の居宅サービス事業の内容が記載されている。
○利用者への公正な情報提供が不十分である。

(ポイント)
居宅介護支援事業者は、利用者自身による自由なサービス選択の幅を広げるため、当該利用者が居住する地域の指定居宅サービス事業者等に関するサービスの内容、利用料等の情報を適正に利用者又はその家族に対して提供するものとし、情報提供等の資料や手段等を整備しておくこと。
(例)
・ 通常の事業実施地域の居宅サービス事業所一覧等を配布、教示
・ 介護サービス情報の公表結果を活用
・ 他事業所のパンフレット等を提示、配布


人員に関する事項

介護支援専門員の配置基準

○介護支援専門員の員数が35:1の基準を満たしていない。

運営に関する事項

介護支援専門員の担当

○指定居宅介護支援の主要な業務(課題分析、居宅サービス計画の作成、サービス担当者会議等の開催、居宅サービス計画の実施状況の把握及び評価等(モニタリング))を介護支援専門員以外の者が行っている。

課題分析の実施

○課題分析に不備がある。
・標準項目すべてについてのアセスメントを実施していない。
・包括アセスメントが行われていない。
・認定調査票によりアセスメントに代えている。
○標準項目を備えていない方法により課題分析を実施している。
○居宅を訪問し、利用者に面接して行っていない。
○居宅サービス計画の変更時・更新認定時に実施されていない、もしくは記録が無い。

居宅サービス計画の作成

○居宅サービス計画書(2)
・サービスの内容が具体的に捉えられていない。
・長期、短期目標が設定されていない。
○生活援助中心型の算定根拠が明確にされていない。
○通院等のための乗車又は降車の介助の算定根拠が明確にされていない。
○福祉用具貸与及び特定福祉用具販売の必要な理由が記載されていない。
○居宅サービス計画が標準様式で作成されていない。
○各種個別加算の必要性が位置付けされていない。
○院内介助の必要性が確認されていない。

(ポイント)
院内介助を位置づける場合は、居宅サービス計画に、
① 適切なアセスメントに基づく利用者の心身の状況から院内介助が必要な理由
② 必要と考えられる具体的なサービス内容(例えば、院内での移動時に転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで事故がないように見守る)場合や、他科受診のための移動時に車いすの介助)
③ 介護支援専門員によって、院内介助については、原則として医療機関等のスタッフにより対応すべきであるが、当該医療機関等においては、当該医療機関等のスタッフによる病院内の介助が得られないことが確認された経緯(何時、誰に、確認した内容)を記載する必要がある。
参考:介護報酬に係るQ&Aについて(平成15年5月30日)厚生労働省 訪問介護Q5


サービス担当者会議等

○利用者が利用する全てのサービス担当者を召集して、サービス担当者会議を開催し、サービス担当者からの専門的な見地からの意見を求めていない。(ただし、やむを得ない事情のある場合はサービス担当者に対する意見照会により意見を求めることが出来る。)また、その
結果が記録されていない。
○各種個別加算の必要性について、サービス開始又はサービス継続時に、サービス担当者会議等での検討が行われていない。また、その結果が記録されていない。

認定更新時等のサービス担当者会議

○サービス担当者会議(やむを得ない場合はサービス担当者に対する意見照会)が、更新認定時や区分変更認定時に行われていない。また計画の変更の必要性の意見を求めた結果が記録されていない。

居宅サービス計画の交付

○居宅サービス計画が利用者及び利用者が利用するすべてのサービス担当者(特に福祉用
具貸与事業者)に交付されていない。
○同一法人で同じ場所に併設されるサービス事業所の担当者への交付を省略している。

モニタリング

○1月に1回以上、モニタリングの結果が記録されていない。
○モニタリングに当たって、1月に1回以上利用者の居宅を訪問していない。
○モニタリングの記録に不備がある。
・利用者の解決すべき課題の変化が捉えられていない。
・居宅サービス計画を変更するに至った経過や原因等が明らかにされていない。

(ポイント)
・ 指定居宅介護支援においては、利用者の有する解決すべき課題に即した適切なサービスを組み合わせて利用者に提供し続けることが重要である。
・ モニタリングに当たっては、居宅サービス計画作成後も、少なくとも1月に1回は利用者の居宅で面接を行い、利用者の解決すべき課題に変化がないかどうかを把握し、解決すべき課題の変化が認められる場合、必要に応じて居宅サービス計画の変更等が必要となる。
このため、基準で定めるモニタリングは、①利用者及びその家族の意向・満足度等、
②援助目標の達成度、③事業者との調整内容、④居宅サービス計画の変更の必要性等についての結果記録が必要であり、これらについての具体的な記述がない状況では、居宅サービス計画の変更の必要性が不明なため、不十分である。また解決すべき課題の変化がない場合においても、居宅サービス計画で定めた援助目標が達成されているか、サービスの提供は適切であるか等を検証した結果の記録が必要である。


総合的な計画の作成

○保健医療福祉サービス及び家族や地域等インフォーマルな支援を含めた、総合的な計画となっていない。

居宅サービス計画の変更

○居宅サービス計画の変更時に再アセスメントが行われていない。
○居宅サービス計画の変更に際し、必要な手続きが行われていない。

(ポイント)
居宅サービス計画の変更に際しては、次に掲げる事項を実施すること。
① 利用者の居宅を訪問し、利用者及び家族に面接して、アセスメントを実施すること。
② 利用者の希望及び利用者についてのアセスメントの結果に基づき、利用者の家族の希望及び地域における指定居宅サービス等が提供される体制を勘案して、解決すべき課題に対応するための最も適切なサービスの組み合わせについて検討した、居宅サービス計画の原案を作成すること。
③居宅サービス計画の原案の内容について、サービス担当者会議又はサービス担当者に対する意見照会により、担当者から専門的な見地からの意見を求めること。
④ 居宅サービス計画について利用者又は家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得ること。
⑤ 居宅サービス計画について、利用者から同意を得たときは、遅滞なく利用者及びサービスの担当者へ居宅サービス計画を交付すること。


福祉用具貸与・特定福祉用具販売の位置づけ

○福祉用具貸与・特定福祉用具販売を位置づける場合に、その必要性が記載されていない。

(ポイント)
福祉用具貸与及び特定福祉用具販売については、その特性と利用者の心身の状況等を踏まえて、必要性を十分に検討せずに選定した場合、利用者の自立支援は大きく阻害されるおそれがあることから、検討の経過を記録する必要がある。
このため、居宅サービス計画に福祉用具貸与及び特定福祉用具販売を位置づける場合には、サービス担当者会議を開催し、当該計画にその必要性を記載することが必要である。
なお、福祉用具貸与については、必要に応じて随時サービス担当者会議を開催し、利用者が継続して福祉用具貸与を受ける必要性について検証し、継続の必要性がある場合にはその理由を再び居宅サービス計画に記載する必要がある。
また、軽度者(要介護1、要支援2、要支援1)に福祉用具貸与を位置づける場合には「厚生労働大臣が定めるもの」第19号のイで定める状態像の利用者であることを確認するため、当該軽度者の「要介護認定等基準時間の推計の方法」別表第1の調査票について必要な部分(実施日時、調査対象者等の時点の確認及び本人確認ができる部分並びに基本調査の回答で当該軽度者の状態像の確認が必要な部分)の写しを市町村から入手しなければならない。ただし、当該軽度者がこれらの結果を介護支援専門員に提示することに、あらかじめ同意していない場合については、当該軽度者の調査票の写しを本人に情報開示させ、それを入手しなければならないこととなっている。
さらに、介護支援専門員は、当該軽度者の調査票の写しを指定福祉用具貸与事業者へ提示することに同意を得た上で、入手した調査票の写しについて、その内容が確認できる文書を指定福祉用具貸与事業者へ送付しなければならないこととなっている。


主治医等の指示等

○医療サービス(訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導及び短期入所療養介護)を位置付ける際に、主治の医師等の指示内容(必要性、具体的な実施方法、実施期間等)が「居宅介護支援経過」等に記録されていない。

管理者の責務

○管理者の責務を果たしていない。

(ポイント)管理者の責務
① 介護支援専門員その他の従業者の管理
② 指定居宅介護支援の利用の申込みに係る調整
③ 業務の実施状況の把握
④ 介護支援専門員その他の従業者に基準を遵守させるための必要な指揮命令


介護報酬等の請求に関する事項

指定居宅介護支援事業に要する費用の額の算定

○居宅介護支援費の取扱件数について、常勤換算数で算出すべきところ、これを行っていない。

特定事業所集中減算

○「居宅介護支援における特定事業所集中減算チェックシート」が作成・保存されていない。
○判定の結果が90%を超えているにもかかわらず、「居宅介護支援における特定事業所集中減算チェックシート」による報告が行われていない。

(ポイント)
・ 算定の結果、90%を超えた場合にあっては、「居宅介護支援における特定事業所集中減算チェックシート」を大阪府に提出すること。
・ 当該書類については、90%を越えなかった場合であっても、各事業所において2年間保存しておく必要がある。
【特定事業所集中減算の提出期限】
区分 判定期間 報告期限 減算適用期間
前期 3月1日から8 月末日 9 月15 日まで 10 月1 日から3月31 日
後期 9月1日から2 月末日 3 月15 日まで 4月1 日から9月30 日


運営基準減算

○減算事由に該当しているが、所定単位数で算定している。
・アセスメント時に居宅を訪問し、利用者及び家族に面接していない。
・居宅サービス計画の新規作成及び変更作成時に、サービス担当者会議又はサービス担当者に対する意見照会により、専門的な見地からの意見を求めていない。
・居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付していない。
・モニタリングにおいて、1月に1回以上利用者の居宅を訪問して利用者に面接していない。
・1月に1回以上、モニタリングの結果が記録されていない。
・更新認定・区分変更を受けた利用者に対する居宅サービス計画の変更の必要性について、サービス担当者会議又はサービス担当者に対する意見照会により、専門的な見地からの意見を求めていない。

(ポイント)
運営基準減算として、所定単位数の100分の70に相当する単位数を算定する。また、運営基準減算が2月以上継続している場合には、所定単位数の100分の50に相当する単位数を算定する。


○運営基準減算に該当するにもかかわらず、初回加算を算定している。

特定事業所加算

○必要な常勤かつ専従の主任介護支援専門員、介護支援専門員が配置されていない。

(ポイント)
・ 算定要件を満たす最低限の人員の配置は、特定事業所加算(Ⅰ)については少なくとも主任介護支援専門員及び介護支援専門員3名の合計4名、特定事業所加算(Ⅱ)については少なくとも主任介護支援専門員及び介護支援専門員2名の合計3名を常勤かつ専従で配置する必要がある。
・ 特定事業所加算を算定する事業所は、届出後も常に要件を満たしている必要があり、要件を満たさなくなった場合は、速やかに廃止の届出を行い、要件を満たさないことが明らかとなったその月から加算の算定はできない。
参考:平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)問30


○特定事業所加算〔(Ⅰ)、(Ⅱ)〕に係る基準の遵守状況に関する記録が作成されていなかった。

(ポイント)
本加算を取得した特定事業所については、毎月末までに、基準の遵守状況に関する所定の記録を作成し、2年間保存するとともに、都道府県知事等から求めがあった場合については、提出しなければならない。
参考:居宅事業者課ホームページ「様式ライブラリー」


○運営基準減算により居宅介護支援費を減算して請求しなければならないにも関わらず、減算を行わずに、併せて所定単位数に特定事業所加算〔(Ⅰ)、(Ⅱ)〕を請求していた。

(ポイント)
運営基準減算又は特定事業所集中減算が適用されている場合は、居宅介護支援を提供した全利用者の特定事業所加算は算定できない。


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