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遺贈寄付を受けた場合の収益計上時期

遺言(遺贈)や死因贈与により、NPO法人が寄付を受けた場合、収益をいつ計上すべきかなどについて解説します。

  • 「遺言(遺贈)」は、生前に被相続人が財産を渡す相手を遺言によって決めている場合を言います。
  • 「死因贈与」は、生前に被相続人が財産を渡す相手を契約によって決めている場合を言います。

どちらもよく似ていますが、次の点で遺贈と死因贈与とは違います。

  • 「遺言(遺贈)」は、遺贈者が一方的に行う意思表示(単独行為)なので、受遺者は財産を受け取らないという選択も可能です。
  • 「死因贈与」は、贈与者と受贈者の合意で成立する契約なので、贈与者の死後、受贈者の意思だけで財産の受け取りを放棄することはできません。

「遺言(遺贈)による寄付」と「死因贈与契約による寄付」に分けて説明します。

「遺言(遺贈)による寄付」の場合

「NPO 法人××に○○財産を寄付する」という遺言を遺してお亡くなりになった方がいた場合、寄付を受けるNPO 法人はいつの時点で収益に計上するのでしょうか?

遺言は、遺言作成者が死亡した時にその効力が生じますが、将来入金されるのか、入金されるのしても入金金額が明確であるかといった問題があります。

遺言の詳細が不明なケース

そのような場合には、

  • 「活動計算書」には収益として計上せず、
  • 「財務諸表」に、
    「当年度末において、遺言執行人から当法人を受遺者として財産を遺贈する旨の通知を受けておりますが、遺贈財産の内容が不明なものがあり、これらは財務諸表に計上されておりません」などの注記をします。

そして、入金されることが確実であり、その入金の金額も明確にわかる時点で収益に計上します。

相続人間で係争がある場合

係争中は「仮受金」など負債の勘定科目で処理し、収益には計上しません。

そして、財務諸表の注記に、「当年度において遺贈寄付○○円を受けていますが、相続人と係争中であり、金額が確定しないため、仮受金に計上しています」などの注記をします。

そして、係争が終わり、入金が確実になった時点で収益に計上します。

「死因贈与契約による寄付」の場合

死因贈与契約とは、寄付者(贈与者)が死亡することで効力を生じる贈与のことです。

遺言(遺贈)による寄付とは違い、寄付者と寄付を受けるNPO 法人の双方が寄付者の生前に同意をします。

従って、死因贈与契約をNPO 法人が一方的に放棄することはできません。

このような死因贈与契約については、寄付者が死亡した時に、請求権が発生しますので、その時点で収益に計上します。

ただし、遺言による寄付と同様に、贈与財産の内容が不明であったり、相続人と係争があり、金額が確定しない場合には、金額が確定するまで収益には計上しません。


【遺贈寄付を受けた場合の収益計上時期(まとめ)】

遺贈寄付


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