3. 総合事業の法的性格とガイドライン

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上の動画で使用しているパワーポイントの資料
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上の動画の内容を文字起こししました。

早速ですが、本題に入っていきたいと思います。

「介護予防・日常生活支援総合事業」、略して総合事業と言いますが介護保険の中の要支援1と2の方が、介護保険から外れて市町村の総合事業に移るという話です。

これは皆さんにとって、すごく影響の大きい話だと思うので、一番最初に申しあげたいと思います。

厚生労働省は、確か平成24年5月頃だったと思いますが、ゴールデンウィークのときに、総合事業を発表しました。

NHKだったと思いますが、皆さんが遊んでいるときに報道されました。

世間の目というものを、厚生労働省は気にします。

もし、総合事業に反対が多ければ、今日改正にはならなかったと思うのですが、それほど反対はなかった。

要支援1と2を介護保険から外すということで、反対した人も勿論いたのですが、国民的な大きな反対運動にならなかったので成立した。

厚生労働省は、すごく報道とか国民の意見を気にします。

それによって、修正されるケースがあります。

だから皆さんが反対しないように、こそっとやることがあります。

今後、話をするときにそんな話が出てくるかもしれません。

次にいきます。

端的に申しあげますと、総合事業は市町村が好き勝手にやっていいという法律になっています。

好き勝手にやっていいというのは、たとえば事業費の単価については、現在の訪問介護、通所介護の報酬以下であれば、市町村はいくら設定しても良いことになっています。

今の予防給付の要支援1と2の報酬を超えてはいけないけれど、それ以下であればいくらにしてもいい。

市町村が勝手にしていい。

それから利用料も同様です。

市町村が勝手に決めて良い。

とにかく勝手にやっていいのですが、厚生労働省は国民の批判を心配していたので、「総合事業に移っても、今までと同じサービスを今まで通り受けられるので心配しないでください。」と言っていました。

特に総合事業に移ってから、利用制限するとか単価が高くなることはありません。

今までどおりのサービスを提供するので、心配しないでくださいと厚生労働省は言っていました。

ところが市町村が勝手に決めていいということになると、無茶苦茶な市町村が出てくるかもしれません。

そんなことをされると、厚生労働省としては困るので一応、最低限守るガイドラインというものを7月28日の全国介護保険担当課長会議で発表しました。

このガイドラインに従っていれば、市町村間の大きな差はなくなります。

しかし、このガイドラインも法的拘束力はなく強制力はないので、市町村はこのガイドラインを無視してもいいのですが、田村厚労省大臣は次のように答えています。

ガイドラインは強制力はないのではないでしょうか?という質問に対して、「その通りです。強制力はありません。ただお金は国が出すので、出す以上は国の意見に従っていただくのが筋ではないでしょうか。」と答えています。

おそらく市町村は、このガイドラインに従って実行するということになると思います。

いま市町村は、このガイドラインに従って検討している段階で、今現在各市町村から基準は出ていません。

ただ、このガイドラインがベースになるはずです。

そして、要支援1と2を介護保険から外しておきながら、介護保険という制度で縛るということをします。

限度額管理というのがありますが、区分支給限度額といって一ヶ月1割負担で介護保険を利用できる限度額が決まっていまして、要支援1と2を介護保険から外しておきながら、この区分支給限度額の管理はします。

これは今回の介護保険法改正の特徴の一つでして、他でも介護保険外のものを介護保険という制度で縛ることをします。

その結果、総合事業をする場合、今まで通り国保連への請求は介護保険と一緒にすることになります。



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