2012.10.14
カテゴリ:介護事業所の経営
通所サービスの「繁盛店の秘密」
こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。
日経ヘルスケア2012年10月号に、通所サービスの「繁盛店の秘密」というタイトルで特集記事が掲載されていました。
そこで、簡単に記事の内容を要約してご紹介します。
通所サービスの「繁盛店の秘密」
通所介護の動向と独自の取組みで利用者を確保している5つの事業所が紹介されています。
【 動向編】「利用者に合ったサービス」へ
通所介護取り巻く状況の変化は、次の3つがあります。
- 「団塊の世代」が高齢者になると、こだわりが強く、個別性を重視する傾向にある⇒ニーズの多様化
- 2012年8月末時点で通所介護の事業所数は3万ヵ所を超える。3年間で1.3倍に拡大。⇒競争激化
- 2012年度の介護報酬改定は、2011年介護事業経営実態調査で通所介護サービスの収支差率が11.6%と高かったことから、新サービスや他のサービスの財源を確保するための「草刈り場」となった。⇒介護報酬抑制
上記1~3のように通所介護事業所の経営環境は厳しく、事業所を安定運営していくには、他社にない特徴的なサービスで、個性豊かな利用者を引き付ける工夫が必要となる。
これまで多くの通所介護事業所が取り組んでいる「食事・入浴・レクレーション」だけでは、今後生き残っていくことが厳しい状況です。
機能訓練に特化した短時間型通所介護
ぽじえじステーション(東京都世田谷区)
特徴を次の3つに要約しました。
- 午前・午後の各3時間、定員10~15人に対してマシントレーニングやエクササイズなどの個別機能訓練を提供し、食事、入浴、レクレーションなどは実施しない。
- 利用開始時と、3ヵ月に1回実施する体力測定結果を。写真や動画で比較した資料をまとめケアマネに効果をアピール。
- 理学療法士や作業療法士などは配置せず、統一的なプログラムを用意し未経験者でも扱いやすいトレーニング機器を導入して人件費を抑えている。
男性のためのデイサービス
松渓ふれあいの家(東京都杉並区)
特徴を次の3つに要約しました。
- 定年後の男性が地域で居場所や知り合う場所がないことから、「自分たちが行きたくなるようなデイサービス」をコンセプトとした。
- 男性になじみのある麻雀や囲碁などを用意したり、利用者が現役時代からなじみのあるスポーツ紙や雑誌を用意している。
- 利用者を集めるため、マスコミを活用した。定年後にデイサービスを始めたという珍しさから、テレビや新聞、雑誌などで数多く取り上げられ、知名度アップで利用者集めにつながった。
モダンなハードと徹底した「おもてなし」
デイサービスセンターアルフィック(岡山県)
特徴を次の3つに要約しました。
- 自動車のショールームのような外観、アンティーク家具や絵画、生花が配置されたモダンな空間。インカムを装備したスタッフのきびきびした動きは一見すると都心のカフェのようだ。
- 「徹底した顧客志向」による手厚いサービスにより、稼働率はわずか8ヵ月で100%。
- 「1日1回、利用者を大笑いさせる」というルールを設けている。「通うと楽しい」と思ってもらうことが利用者確保の原点。
80以上のプログラムから自分で選択
わかたけプラザ夢タウン(横浜市)
特徴を次の3つに要約しました。
- 多彩なプログラムを用意し、利用者が自ら選択して1日の行動を決める。
- 事務所内通貨「スター」を使用し、リハビリにつながる活動に取り組めば「スター」を獲得できるが、カジノやリラクゼーションばかり選択していると、すぐに「スター」がなくなる。
- 建物のバリアを逆手に取り、リハビリの場にしたが、当初ケアマネに理解してもらうため何度も足を運んでプログラムの効果を説明。
行動すべてが機能訓練になる仕掛け
デイステーション涼風(東京都小金井市)
特徴を次の3つに要約しました。
- 利用者が来所から帰宅までの行動一つひとつが、自立して日常生活を送るための機能訓練になるように仕組まれている。
- 職員たちは、利用者自身でできることは見守り、できない場合には最小限の手を貸す。
- 一連の機能訓練による状態の改善の効果は、3ヵ月ごとに実施する「お楽しみ測定」の結果に如実に表れている。
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