「サービス付き高齢者向け住宅」併設の介護事業所への実地指導の強化

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

「サービス付き高齢者向け住宅」への実地指導が、今後、強化されるようです。

重点的かつ効率的な指導のための指導計画策定

3月11日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当者課長会議において、「指導監督の実施における留意について」の中の「重点的かつ効率的な指導のための指導計画策定」に、その内容が記載されています。

原文をそのまま次に記載しました。

指導監督の実施における留意点について
ア (省略)

イ 重点的かつ効率的な指導のための指導計画策定

指導監督の実施においては、重点的かつ効率的な指導を行うため、その年度ごとに重点指導事項、指導対象選定方針等を検討し、それを反映した指導計画の策定に努めていただく必要がある。

計画策定においては、最近の処分事例等を参考とすることも有用であり、下記に全国的な事例を示すので、各自治体におかれてはこれらについて留意の上、指導計画を策定いただきたい、

○最近の行政処分において複数の自治体において同様の不正内容により処分されている事例集

① 高齢者向け住宅を設置する法人が運営する事業所での処分事例
高齢者向け住宅の入居者に対するサービス提供を主とした訪問介護事業所において、訪問介護員が住宅管理職員等と兼務し、住宅におけるサービスと介護サービスが混同して行われ、虚偽のサービス提供記録等により報酬を不正に請求。

② 不適切な運営を行う居宅介護支援事業所
居宅介護支援業務について、運営基準に定められたアセスメント・モニタリングの未実施、サービス担当者会議の未開催、利用者の同意を得ていないなど不適切であるにも関わらず減額せずに報酬を不正に請求。

③ 施設職員における虐待行為
職員が入所者に対ししんたいあ・心理的虐待、介護放棄を行った。また、当該施設においては施設内職員に対する研修など虐待防止の取組が行われていなかった。

介護事業経営研究会(C-MAS)最高顧問小濱道博氏メルマガより

今回の担当課長会議において注目すべきは、厚労省千田介護保険指導室長から、「今後はサービス付高齢者向け住宅に注目するように」との発言があったことです。この件については、複数の情報から、間違いなく今後のサ高住併設の介護事業所に対する実地指導の強化を意味します。これからは高齢者住宅に併設される介護事業所への実地指導が急増すると考えるべきです。

高齢者住宅併設の介護事業所で特に注意すべき点は、食堂や共同浴場といった「共有部分」での食事介助や入浴介助が「介護保険法第8条に規定する居宅」ではないとの理由から介護報酬返還指導が行われたり、専従規定のあるサービス提供責任者や生活相談員が行う夜勤業務などの住宅部分での業務が兼務に当たるとして人員基準違反として行政処分の対象となったりという指導リスクです。そして多くの併設型介護事業所のコンプライアンス対策への認識が甘すぎる実態があります。


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