障害者を多数雇用する企業に対する税制優遇制度が拡充されました。

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

障害者雇用の現状と課題

現在、企業に対して従業員の1.8%以上の障害者雇用を義務づけていますが、実際に雇用されている割合は1.68%です。

大企業に比べ中小企業が低調であることが、課題の一つです。
企業規模別障害者雇用率(平成22年)

障害者を多数雇用する企業に対する税制優遇制度

こうした障害者の雇用状況の中で、今回、障害者を多数雇用する企業には、税制優遇制度が拡充されました。

税制優遇制度の概要

次の「税制優遇制度の対象となる事業主の要件」に該当するものが、その事業年度又はその前5年以内に開始した各事業年度に取得・製作・建設した機械装置、工場用建物及びその附属設備並びに一定の車両運搬具について、 普通償却限度額の24%(工場用建物及びその附属設備は32%)の割増償却ができます。


決算時の割増償却

税制優遇制度の対象となる事業主の要件

[check]青色申告書を提出する事業主であること
[check]平成26年3月31日までの期間内に始まるいずれかの事業年度において、以下のいずれかの要件を満たす事業主であること(個人事業主の場合は平成26年12月31日までの各年)

  1. 従業員数に占める障害者数の割合が50%以上
  2. 雇用している障害者数が20人以上 であり 、かつ、従業員数に占める障害者数の割合が25%以上
  3. 法定雇用率1.8%を達成している事業主で、基準雇用障害者数が20
    人以上であり、かつ、基準雇用障害者数に占める重度障害者数の割合が50%以上

   (注)

  1. 障害者数のカウント
    短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人とカウント(ダブルカウント)とし、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人とカウントします。
  2. 基準雇用障害者数とは
    ダブルカウントなしの障害者数の合計をいい、重度障害者数の割合とは、基準雇用障害者数に占めるダブルカウントなしの重度障害者数の割合をいいます。この場合、短時間労働者は1人を0.5人とカウントします。
  3. 重度障害者とは、
    重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者をいいます。

税制優遇制度の拡充

これまでは、

  1. 従業員数に占める障害者数の割合が50%以上
  2. 雇用している障害者数が20人以上であり 、かつ、従業員数に占める障害者数の割合が25%以上
    のいずれかの要件を満たす事業主が割増償却制度を利用できましたが、重度障害者の一層の雇用促進を図る観点から、
  3. 法定雇用率1.8%を達成している事業主で、基準雇用障害者数が20人以上であり、かつ、基準雇用障害者数に占める重度障害者数の割合が50%以上
    を満たす事業主についても、割増償却制度を利用できるようになりました。

税制優遇制度の事務手続

まず、最寄りのハローワークで対象企業の要件を満たしているかどうかの確認を受けます。

要件を満たしていれば、ハローワークで証明書が交付されます。

その証明書を税務署で申告する際、税務署から提示を求められれば必要になります。



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