認知症高齢者入居のグループホームにスプリンクラー設置義務化へ

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

FNN1

FNNニュースによりますと、総務省消防庁は現行の基準を撤廃して、小規模な施設にもスプリンクラーの設置を義務づける方針を固めたようです。


FNN2

今回の総務省消防庁の現行基準撤廃のキッカケになったのが、今年2月の長崎市のグループホームで5人が死亡した火災事故です。

現行の基準は、延べ床面積が275平方メートル以上の施設でスプリンクラー設置を義務づけています。


火災のあった長崎市の施設は対象外となっていました。


FNN3

このため、総務省消防庁は検討部会を設置し、小規模な施設にもスプリンクラーの設置を義務づけるといった見直しを進めています。


認知症グループホームの防火対策の骨子のポイント

日本経済新聞2013年6月27日によると「認知症グループホームの防火対策の骨子のポイント」は、次の通りです。

  1. 原則として全施設にスプリンクラーの設置を義務化する。
  2. 対策は、養護老人ホームなど介護が必要な高齢者向け施設にも適用する方向
  3. 自動火災報知設備と連動して消防への通報を自動的にできるシステムが望ましい
  4. 消防施設や建物構造の不備を改善するため、関係部局が連携して重点的に指導する
  5. 採用時を含めた従業員の教育や、消防訓練の効果を高める工夫が必要


国土交通省の調査結果

国土交通省は、平成25年2月8日に長崎市の認知症高齢者グループホームで発生した火災を受け、認知症高齢者グループホームの防火・避難関係規定に係る点検及び是正状況の調査結果を発表しています。

それにいると、

  1. これまでの取組により一定数の是正が進んでいるものの、全体としては違反の事実が判明した施設の約4割について是正が完了していない
  2. また、今回新たに開設が把握された施設や過去の点検において違反なしとされていた施設においても防火・避難規定に係る違反が確認されている。

以上を受けて、国土交通省は各都道府県に次のような指示を行いました。

  1. 引き続き未是正物件に対して、消防部局及び福祉部局と連携し点検及び是正指導を行うとともに、
    1. 所有者等に対して建築物の具体的な改善に係る計画の提出を求め、その実行を促すこと、
    2. 正当な理由なく是正が行われない事例については建築基準法第9
      条による違反是正命令を行うこと、
      などの取組により、迅速な違反是正の更なる徹底を図ること。
  2. また、一部規定の違反の有無が「不明」扱いになっているものについても改めて立入調査をするなどし、その結果、違反であることが確認されれば是正指導を行う等の取組み行うこと。

過去の施設の火災事故(高齢者住宅新聞より)

発火日施設名所在地用途・該当部分(建物全体)延床面積負傷者数死者数
2007年1月やすらぎの里長崎県大村市認知症高齢者GH304㎡3人7人
2008年3月愛の家GH北海道帯広市認知症高齢者GH658㎡1人1人
2008年11月養護老人ホーム信濃寮長野県飯田市養護老人ホーム1451㎡9人
2009年2月リボーンビル神奈川県川崎市共同住宅352㎡7人
2009年3月きょうわ荘神奈川県川崎市共同住宅297.4㎡4人1人
2009年3月静養ホームたまゆら群馬県渋川市無届の高齢者住宅387.9㎡1人10人
2009年6月ハイムひまわり神奈川県綾瀬市障害者GH318㎡1人3人
2009年11月六郷の里宮城県仙台市老人福祉施設2235㎡3人
2009年12月ROSE倶楽部粒来福島県いわき市小規模多機能型施設380㎡3人2人
2010年3月GHみらいとんでん北海道札幌市認知症高齢者GH248.43㎡2人7人
2013年2月GHベルハウス東山手長崎県長崎市認知症高齢者GH270.36㎡8人4人
2013年2月新潟もぐらの家新潟県新潟市障害者GH810㎡(建物全体)5人1人



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