2013.06.30
カテゴリ:介護事業所の経営
認知症高齢者入居のグループホームにスプリンクラー設置義務化へ
こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。
FNNニュースによりますと、総務省消防庁は現行の基準を撤廃して、小規模な施設にもスプリンクラーの設置を義務づける方針を固めたようです。
今回の総務省消防庁の現行基準撤廃のキッカケになったのが、今年2月の長崎市のグループホームで5人が死亡した火災事故です。
現行の基準は、延べ床面積が275平方メートル以上の施設でスプリンクラー設置を義務づけています。
火災のあった長崎市の施設は対象外となっていました。
このため、総務省消防庁は検討部会を設置し、小規模な施設にもスプリンクラーの設置を義務づけるといった見直しを進めています。
認知症グループホームの防火対策の骨子のポイント
日本経済新聞2013年6月27日によると「認知症グループホームの防火対策の骨子のポイント」は、次の通りです。
- 原則として全施設にスプリンクラーの設置を義務化する。
- 対策は、養護老人ホームなど介護が必要な高齢者向け施設にも適用する方向
- 自動火災報知設備と連動して消防への通報を自動的にできるシステムが望ましい
- 消防施設や建物構造の不備を改善するため、関係部局が連携して重点的に指導する
- 採用時を含めた従業員の教育や、消防訓練の効果を高める工夫が必要
国土交通省の調査結果
国土交通省は、平成25年2月8日に長崎市の認知症高齢者グループホームで発生した火災を受け、認知症高齢者グループホームの防火・避難関係規定に係る点検及び是正状況の調査結果を発表しています。
それにいると、
- これまでの取組により一定数の是正が進んでいるものの、全体としては違反の事実が判明した施設の約4割について是正が完了していない。
- また、今回新たに開設が把握された施設や過去の点検において違反なしとされていた施設においても防火・避難規定に係る違反が確認されている。
以上を受けて、国土交通省は各都道府県に次のような指示を行いました。
- 引き続き未是正物件に対して、消防部局及び福祉部局と連携し点検及び是正指導を行うとともに、
- 所有者等に対して建築物の具体的な改善に係る計画の提出を求め、その実行を促すこと、
- 正当な理由なく是正が行われない事例については建築基準法第9
条による違反是正命令を行うこと、
などの取組により、迅速な違反是正の更なる徹底を図ること。
- また、一部規定の違反の有無が「不明」扱いになっているものについても改めて立入調査をするなどし、その結果、違反であることが確認されれば是正指導を行う等の取組み行うこと。
過去の施設の火災事故(高齢者住宅新聞より)
発火日 | 施設名 | 所在地 | 用途・該当部分(建物全体) | 延床面積 | 負傷者数 | 死者数 |
---|---|---|---|---|---|---|
2007年1月 | やすらぎの里 | 長崎県大村市 | 認知症高齢者GH | 304㎡ | 3人 | 7人 |
2008年3月 | 愛の家GH | 北海道帯広市 | 認知症高齢者GH | 658㎡ | 1人 | 1人 |
2008年11月 | 養護老人ホーム信濃寮 | 長野県飯田市 | 養護老人ホーム | 1451㎡ | 9人 | ー |
2009年2月 | リボーンビル | 神奈川県川崎市 | 共同住宅 | 352㎡ | 7人 | ー |
2009年3月 | きょうわ荘 | 神奈川県川崎市 | 共同住宅 | 297.4㎡ | 4人 | 1人 |
2009年3月 | 静養ホームたまゆら | 群馬県渋川市 | 無届の高齢者住宅 | 387.9㎡ | 1人 | 10人 |
2009年6月 | ハイムひまわり | 神奈川県綾瀬市 | 障害者GH | 318㎡ | 1人 | 3人 |
2009年11月 | 六郷の里 | 宮城県仙台市 | 老人福祉施設 | 2235㎡ | 3人 | ー |
2009年12月 | ROSE倶楽部粒来 | 福島県いわき市 | 小規模多機能型施設 | 380㎡ | 3人 | 2人 |
2010年3月 | GHみらいとんでん | 北海道札幌市 | 認知症高齢者GH | 248.43㎡ | 2人 | 7人 |
2013年2月 | GHベルハウス東山手 | 長崎県長崎市 | 認知症高齢者GH | 270.36㎡ | 8人 | 4人 |
2013年2月 | 新潟もぐらの家 | 新潟県新潟市 | 障害者GH | 810㎡(建物全体) | 5人 | 1人 |
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