移動時間に最低賃金以上の賃金を払っていますか?

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

移動時間には、賃金を支払わなければならない。

従業員に賃金を支払う労働時間は、「使用者の指揮監督の下にある時間」をいいます。

それでは、ヘルパーさんが利用者宅へ移動する時間(移動時間)は、労働時間に含まれ賃金を払わなければならないでしょうか?


移動時間の考え方

移動時間とは、事業所や利用者宅などを移動する時間をいいます。

この移動時間については、使用者が業務に従事するために必要な移動を命じるものであれば、「使用者の指揮監督の下にある時間」として労働時間に該当します。

なお、通勤時間(下の例では①)はここでいう移動時間に該当しません。

移動時間の考え方

上図の②又は③の移動時間が、通常の移動に要する時間程度である場合は、賃金を支払わなければなりません。

また、移動時間に対して賃金を支払う場合にも、最低賃金額を下回らないように注意しなければなりません。

最低賃金の改定は、毎年9月から10月に発表されますので、その時期に最低賃金を下回らないか、その都度確認することが必要です。

実測結果に基づき1回あたりの移動に係る賃金を定額制とすることは、実労働時間に基づき移動時間が超過した場合に超過分を支払うのであれば、差し支えはありません。

この場合、あらかじめ雇入通知書や就業規則で、この旨を明記する必要があります。

具体的事例

ケースA
このケースでは、Aさん宅での介護サービス開始時刻から、Bさん宅での介護サービス終了時刻までの時間のうち、休憩時間を除いたものが労働時間となります。

ケースB
このケースでは、Aさん宅での介護サービス提供時間、Bさん宅への移動時間及びBさん宅での介護サービス提供時間が労働時間となります。

移動時間はBさん宅への移動に要した時間であり、それ以外の「空き時間」については、その時間には労務に服する必要がなく、労働者に自由利用が保障されている限り、労働時間として取り扱う必要はありません(Aさん宅での介護サービス終了時刻からBさん宅での介護サービス開始時刻までの時間すべてを労働時間として取り扱う必要はありません。)。

ケースC


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