改正介護保険法審議の行方~補足給付に不動産を勘案すべきか~

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

介護保険施設における食費や居住費は介護保険の対象でしたが、平成17年の改正により在宅介護の要介護者との公平性の観点から利用者負担になりました。

しかし低所得者の中には食費や居住費の支払いが困難なケースもあり、その一部を補填する「補足給付」という制度ができました。

この補足給付制度についても、次の点から不公平であるという指摘がありました。

  1. 所得は低いが、多額の金融資産を持っている人についても補足給付するべきか?
  2. 所得は低いが、配偶者が資産を持っている場合も補足給付の対象とすべきか?

などの問題が指摘され、平成26年の介護保険制度改正で、

  1. 金融資産を考慮
  2. 配偶者資産を考慮
  3. 非課税年金を考慮

するという見直しが行われ、具体的には次の改正が行われました。

  1. 預預金が単身で1,000万円以上、ご夫婦で2,000万円以上で補足給付の対象外
  2. 配偶者の世帯分離は認めない
  3. 非課税年金を収入に含める

補足給付見直し案

【見直し後の補足給付の判定フロー】
補足給付判定フロー

資産要件に不動産を勘案すべきか

平成26年の改正では、補足給付の資産要件に預貯金等が一定額以下という条件が入りましたが、その資産には不動産は除外されました。

今回の改正では、その除外された不動産を資産要件に加え、不動産を一定評価額以上所有している利用者は、補足給付の対象外にするかどうかの議論がなされています。

介護保険部会の委員からは、

  1. 高額な宅地、つまり都市部でなければ土地を資産として捉えることが難しい。
  2. 推定相続人全員が了承しなければならない。
  3. 不動産を勘案するのであれば、もはや補足給付は保険制度外の仕組みとみるべきである。
    などの意見が出され、今回の改正では見送りになりそうです。




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松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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