改正介護保険法審議の行方~総報酬割~
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
介護保険の財政構成は、公費50%と保険料50%になっています。
- 公費50%(国25%、都道府県12.5%、市町村12.5%)
- 保険料50%(65歳以上の1号保険料22%、40歳~64歳の2号保険料28%)
1号保険料と2号保険料とは、一人当たり負担額が同じ程度になるように計算され、 平成28年度では1号保険料(全国平均月額)5,514円、2号保険料(一人当たり月額)5,352円になっています。
総報酬割の導入
今、介護保険部会で議論されているのは、第2号被保険者(40歳~64歳)の保険料を負担能力も勘案して決めるかどうかということです。
すなわち、収入が多い人ほど介護保険料を高くするかどうかという議論がなされています。
「総報酬割」は、儲かっている健康保険組合は介護保険料が高くなり、赤字の健康保険組合は少なくとるという仕組みです。
どこが儲かっているかというと大企業の健康保険組合で、保険料の負担がさらに増えるということを意味しています。
これについては、費用負担側の代表である経団連は、まずは「利用者負担や給付の適正化」をすべきと主張し、平均収入に応じて決める「総報酬割」の導入には反対しています。
ところが、先日の日経新聞によると経団連の榊原会長が24日の記者会見で、「総報酬割」を条件付きで容認する考えを示したと書かれていました。
その条件は、介護分野での歳出削減、具体的には「高額介護サービス費」や要介護度の低い人を対象に生活援助サービスの自己負担を引き上げるなどです。
介護保険部会の最終意見の提出まであと1ヶ月を残すばかりとなり、経団連が譲歩したことにより最終意見の落としどころが見えてきたのかもしれません。