地域区分に新ルール「完全囲まれルール」を採用

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

11月16日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会において、地域区分についての議論が行われました。

地域区分の設定は、公平・客観性を担保する観点から、

  1. 公務員準拠ルール
  2. 複数隣接ルール
    に基づいて行われていますが、自治体へのアンケート調査によると、まだ一部に不公平な点が残ると回答しています。

そこで、新たなルールとして、「完全囲まれルール」が検討されています。

介護報酬の算定に地域区分を考慮

そもそも介護報酬は、それぞれの事業所が所在する地域等が考慮され、次の算定式に基づいて計算されています。

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出典:第132回社会保障審議会介護給付費分科会

算式中の「サービスごと、地域ごとに設定された1単位の単価(10円~11.40円)」が地域区分に該当します。

この地域区分は、現在、次の通り1級~その他の8つ等級からなる上乗せ割合と3つの人件費割合によって決められています。

画像の説明
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出典:第132回社会保障審議会介護給付費分科会

地域区分の設定方法

この様に地域区分は細かく決められていますが、公務員準拠ルールと複数隣接ルールに基づいて設けられています。

  1. 公務員準拠ルール
    介護報酬は、各地域の民間事業者の賃金水準に基づいて設定さらるのですが、客観性という観点から公務員(国家公務員又は地方公務員)の地域手当の設定に準拠して行われています。
  2. 複数隣接ルール
    複数隣接ルールは、例えばその他に該当する地域が、より区分の高い複数の地域と隣接している場合、隣接する地域のうち、その他から最も低い上乗せ割合の区分までの範囲内の区分の上乗せ割合を、自治体側が選べる様になっています。

例えば、その他(0%)に区分される地域が4級地(12%)と6級地(6%)に隣接していれば、上乗せ割合を6級地の6%もしくは7級地の3%、その他の0%の中から選ぶことができます。

新ルール「完全囲まれルール」

しかし、この「複数隣接ルール」も自治体からは、まだ隣接する地域とのバランスに課題があるという指摘があり、厚生労働省は、次の2つの場合について案を提示しています。

  1. 隣接する自治体のすべての区分が該当する自治体の区分より1区分以上高い場合
  2. 隣接する自治体のすべての区分が該当する自治体の区分より1区分以上低い場合

隣接する自治体のすべての区分が該当する自治体の区分より1区分以上高い場合

画像の説明

この場合は、隣接する自治体の区分の中で最も低いものの間で、上乗せ割合の設定が可能となります。例えば、左図の通り、該当する自治体が10%で隣接する自治体がそれぞれ15%、16%、20%といずれも高い場合は、該当する自治体の区分(10%)と、隣接する自治体の区分の中で最も低いもの(15%)の間(12%、15%)で新ルールで設定が可能です。

出典:第132回社会保障審議会介護給付費分科会

隣接する自治体のすべての区分が該当する自治体の区分より1区分以上低い場合

画像の説明

この場合は、該当する自治体の区分(12%)と、隣接する自治体の区分の中で最も高いもの(6%)の間(6%、10%)の選択が可能となります。

出典:第132回社会保障審議会介護給付費分科会

なお、隣接地域全ての地域区分定値が当該の設定値より低い自治体(54自治体)のうち、大阪府内の市町村は、大阪市、池田市、高槻市、高石市で地域区分が低くなる可能性があります。

一方、隣接地域全ての地域区分設定値が当該地域の設定値より高い自治体(15自治体)に、大阪府内の市町村は、摂津市、藤井寺市で地域区分が高くなる可能性があります。




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松本昌晴税理士事務所
大阪の税理士
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