保険者(市町村)の20%は、デイサービスの事業所数が多いと判断している
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
社会保障審議会介護保険部会がまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見(平成28年12月9日)」には、次の記載があり在宅サービスの供給量が多いと判断している市町村があります。
介護保険制度は、制度創設以来、在宅ケアを推進してきた結果、在宅サービスの供給量(事業所数)は拡大しているが、一方で、訪問介護・通所介護等の供給量が多いと判断している市町村もある。
保険者(市町村)の20%は、デイサービスは多いと判断
ところで具体的に、どれくらいの保険者(市町村)が、供給量が多いと判断しているのでしょうか?
「介護保険制度の実施状況に関する会計検査院の結果について」(平成28年3月)の中に、通所介護について提供能力(事業所数)とニーズとの関係について、183の保険者(市町村)に調査したところ、次の通り20%に相当する保険者(市町村)が、ニーズに対して供給能力が多いと判断しているという回答がなされています。
出典:「介護保険制度の実施状況に関する会計検査院の結果について」(平成28年3月)より作成
実際には20%以上の保険者(市町村)で、デイサービスの事業所は多いはず
20%の保険者(市町村)が、デイサービスの事業所が多いと判断していますが、実際にはもっと多いと思われます。
なぜなら、判断できないとしている保険者(市町村)が40%もあるからです。
判断できないとしている理由として、
- 指定権限が都道府県にあるので、保険者(市町村)がサービスの提供能力を把握できていない。
- 他市町村の利用者が利用していること。
などが挙げられています。
もし、保険者(市町村)で判断できる情報が入手できたら、デイサービスの事業所数が多いと判断する保険者(市町村)が増えるでしょう。
多いと判断した市町村ではデイサービスの新規参入は難しい
ニーズに対して供給能力(デイサービスの事業所数)が多いと判断した市町村が、どこかは明らかにされていませんが、その地域では地域密着型通所介護の新規参入は難しくなります。
このことは「介護保険制度の見直しに関する意見(平成28年12月9日)」の中に次の記載があり、いま国会で審議されている介護保険法改正案に織り込まれています。
具体的には、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や(看護)小規模多機能型居宅介護を推進していく観点から、一定の条件を満たす場合には、市町村は都道府県の行う訪問介護・通所介護の指定について、都道府県に協議を求めることができ、都道府県は、市町村との協議結果を踏まえて、訪問介護・通所介護の指定を拒否し、又は指定に当たり条件を付すことができることとされている。
すでに地域密着型通所介護の新規参入が難しい市町村がある
私が地域密着型通所介護の開業支援をさせて頂いた事例で、豊中市は相当厳しい条件でした。
以前とは様変わりといった状況です。
3ヶ月に1回の申請で、しかも有識者の審査で何度も指摘され、そのたびに直して書類を提出するということを何度も繰り返しました。
その結果、ようやく事業所番号をもらえたのですが、地域密着型サービスで許可がおりたのは数件で、しかも地域密着型通所介護は1件だけだったそうです。
豊中市は、通所介護は多いと判断しているように思います。
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