訪問介護事業所数は多いか?多いと判断されると減らされる。

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

3月4日のブログで、通所介護の提供能力(事業所数)とニーズとの関係について書きました。

通所介護の提供能力(事業所数)が、ニーズに対して多いと判断している保険者(市町村)が20%あるということをお伝えしました。

平成27年の介護報酬改定では、通所介護の事業所数が多いとして、大幅な報酬ダウンとなりました。

一方、訪問介護はどうでしょうか?

「介護保険制度の見直しに関する意見(平成28年12月9日)」には、「訪問介護・通所介護等の供給量が多いと判断している市町村もある。」との記載があり、もし訪問介護事業所も通所介護事業所と同様に事業所が多いと判断されたら、訪問介護事業所数を減らす方向で介護報酬の引き下げなどがなされます。

訪問介護事業所数は必ずしも通所介護事業所に比べ多くはない

次の表は、会計検査院が公表した「介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果について」をもとに作成したものです。
画像の説明
出典:会計検査院「介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果について」より作成

ご覧の通り、「ニーズに対して提供能力(事業所数)が多い」と判断している保険者(市町村)は、通所介護で183保険者のうち37保険者(20.2%)であるのに対して、訪問介護で12保険者(6.5%)と少ないことが分かります。

また下表の通り、訪問介護事業所数の増加率は、要介護者等の増加率と同程度となっており、自然な増加となっています。

画像の説明
出典:会計検査院「介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果について」より作成

以上の通り

  1. 訪問介護事業所数は通所介護事業所数に比べ多いと判断している保険者(市町村)が少ないこと
  2. 訪問介護事業所数の増加率は、要介護者等の増加率と同程度であること

の理由により、通所介護と違って訪問介護事業所を減らすために、介護報酬を下げるという議論はされないと思われます。

ただし、地域的なバラツキがあり、訪問介護事業所数がニーズに対して多いと判断している保険者(市町村)も6.5%あるので、その地域では訪問介護事業所の新規参入を抑制する動きがあるかもしれません。




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