次回介護報酬改定も基本報酬減、加算新設か?

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

役所の中で予算をにぎっている財務省は、役所の中の役所と言われ、その発言力は強いです。

財布をにぎっている奥さんと同じです。

勿論、財務省の提言通りにならないと思いますが、4月20日に開催された財務省が所管している財政制度分科会の内容は、これから介護給付費分科会で議論される介護報酬改定に影響するものと考えられます。

そこで、その財政制度分科会に提出された資料をもとに、介護報酬改定で何が論点とされるのか、何回かに分けて解説したいと思います。

財務省の介護報酬改定の方向性に関する考え方

財務省は、来年度の介護報酬改定の方向性として次の改革案を示しています。

【改⾰の⽅向性】(案)
○ 前回改定の影響や介護サービス事業者の経営状況を検証するに当たっては、前回改定の趣旨を踏まえつつ、きめ細かな分析を⾏うとともに、平成30年度介護報酬改定に向けて、引き続き、適正化・効率化すべきことは実施しつつ、質の⾼いサービス提供を促す改定を検討すべき。

適正化とか効率化という言葉は役所の言葉ですが、この言葉が出てきたら、介護報酬は下げるという意味になります。

この様に財務省は前回の報酬改定に引き続き、今年10月ごろに発表になる介護事業経営実態調査結果に基づいて、比較的利益率の高い介護サービスの基本報酬を引き下げるように提言しています。

前回改定の趣旨を踏まえつつ

「前回改定の趣旨を踏まえつつ」と書かれているので、前回平成27年の介護報酬改定の全体を振り返ってみましょう。

平成27年度の介護報酬改定は、次の図の通り

  1. 介護サービス事業者の収⽀状況を踏まえた適正化(△4.48%)
  2. 質の⾼いサービスを提供する事業者に対する加算(+0.56%)。
  3. 介護⼈材確保のための処遇改善加算の拡充(+1.65%)

の3つを合計して△2.27%のマイナス改定になっています。

2番目の加算については、算定要件に人員の配置が求めらるものが多く、加算による報酬アップ以上に人件費負担が大きく、算定しない方がいいという事業所も多いと思います。

3番目の介護職員処遇改善加算は、介護報酬に一定%がオンされますが、同額以上を介護職員に支給しなければならず、事業所として経済的なメリットはありません。

しかし算定しないと介護職員の給料はその分少なくなるので、消極的に算定している事業所も多いのではないかと想像されます。

この様に見てくると、2番目の加算は算定できないので、+0.56%⇒0%であり、3番目の介護職員処遇改善加算は事業所に残らないので、+1.65%⇒0%となり基本報酬減の△4.48%が実質的な改定率ではないかと思います。

平成27年の介護報酬改定は、基本報酬減で加算新設という形でした。

来年の介護報酬改定も基本的には、基本報酬減で加算新設や既存の加算アップという流れは変わらないものと思われます。




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