デイサービスは家族介護者の介護負担軽減に効果があるか?

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

デイサービス(地域密着型を含めて)に求められている機能又は役割は、利用者に必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の

  1. 社会的孤立感の解消
  2. 心身の機能の維持
  3. 利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減(レスパイトケア)

を図ることにあります。

3番目の「利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減(レスパイトケア)」について、デイサービスはどれだけの効果があるのでしょうか?

デイサービスを利用することによって、

  1. 家族介護者の介護負担が軽減されたか
  2. 仕事と介護の両立への影響はどうなったか
    について、「通所介護等の今後のあり方に関する調査研究事業」(平成29年3月)の調査結果に基づいて説明します。

デイサービス利用後の仕事と介護の両立への影響

下図の左の図(介護負担の軽減)をご覧いただくと、要介護度が高くなるにしたがって、「介護負担が軽減された」という割合が増えています。

また、右の図は要介護度が高くなるにしたがって、「仕事と介護の両立がしやすくなった」という割合が増えています。

【通所介護利用開始後の仕事と介護の両立への影響】

仕事と介護の両立

デイサービスの利用時間が長いほど、仕事と介護の両立がしやすくなった

次の図は、デイサービスの利用時間が長いほど、働いている家族介護者が以前よりも仕事と介護の両立がしやすくなったと回答している割合が増えています。

【利用時間別仕事と介護の両立への影響】

利用時間別仕事と介護の両立への影響

デイサービスは家族介護者の介護負担軽減に効果あり

上記の通り、デイサービスを利用することによって、家族介護者の介護負担が軽減され、介護と仕事の両立がしやすくなったと回答した人が、特に要介護度が重くなるにしたがって多くなっています。

介護給付費分科会で以上の資料が提出されているということは、デイサービスの介護報酬改定の議論に重要な影響を与えると考えられ、レスパイトケアより機能訓練という意見が大勢を占めていた中で、「介護離職ゼロ」を目指す政府として、改めてレスパイトケアが重視されることを意味します。

特に、デイサービスの利用時間が長いほど、仕事と介護の両立がしやすくなったという調査結果は、デーサービスのサービス提供時間の長時間化の議論につながる可能性があります。

通所リハビリテーション(デイケア)の介護報酬改定の議論とあわせて、厚生労働省はどの様な最終結論を出すのか興味深いところです。



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