居宅介護支援事業所の特定事業所集中減算の見直し

こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。

介護給付費分科会の資料には、次の会計検査院の報告書と参議院決算委員会の決議が含まれており、居宅介護支援事業所の特定事業所集中減算の見直しが議論されました。

  1. 「介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果についての報告書」(平成28年3月)に、「特定事業所集中減算の見直しも含め、十分に検討すること」の指摘があり、
  2. また平成26年度決算審査措置要求決議(平成28年5月23日 参議院決算委員会)において、「特定事業所集中減算については、ケアマネジメントの公正・中立の確保に向け、現行施策の抜本的な見直しも含め、その在り方を十分に検討すべきである。」との決議がなされています。

介護給付費分科会の委員からは、特定事業所集中減算について廃止するべきという意見もあり、それを含めてこれから議論されます。

会計検査院が指摘した集中割合の調整

ケアマネジャーが、特定事業所集中減算の適用を受けないようにするために

  1. 居宅サービス計画の内容を変更したり、
  2. 他の支援事業所との間で利用者を紹介し合ったりして、

集中割合を意図的に低下させることを行ったことがあるかどうかについて、集中割合が80%超90%以下となっている306事業所について会計検査院は調査し、次の結果を公表しています。

【特定事業所集中減算が適用されないようにするために集中割合の調整を行ったことがあるかどうかに関する調査結果】
画像の説明
出典:会計検査院「介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果について」

上記の調査結果を受けて、会計監査院は次の様に結論付けています。

特定事業所集中減算の適用を受けないようにするために集中割合の調整が行われる場合には、ケアマネジャーは必ずしも利用者の心身の状況、希望等を勘案して居宅サービス計画を作成していないことになり、このようなケアマネジメントは、ケアマネジャーはその担当する利用者の人格を尊重し、常に当該利用者の立場に立って業務を行わなければならないとしている運営基準等の趣旨に反すると考えられる状況となっていた。

特定事業所集中減算の有効性を疑問視

介護給付費分科会の委員からは、特定事業所集中減算を受けないように集中割合を調整するケースがあり、特定事業所集中減算の有効性を疑問視する意見が多数出され、廃止論を含めて根本的な改革が行われる可能性があります。

特定事業所集中減算について

居宅介護支援事業所がその事業所の利用者に対して作成するケアプランについて、正当な理由なく特定のサービス事業所への集中割合が80%を超える場合に報酬を減算する仕組みであり、平成28年5月審査分で約7.6%の事業所が適用されています。

【特定事業所集中減算】

特定事業所集中減算

出典:第143回社会保障審議会介護給付費分科会

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