介護事業で特有の会計処理が必要になると聞いたのですが、どのようなものですか?(大阪府吹田市:40代男性)

こんにちは!大阪の介護専門税理士 松本会計事務所 副所長の高田純です。
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「会計の区分」について

介護事業の会計では、厚生労働省の規定で定められている「会計の区分」に注意しなければなりません。ここが一般事業の会計と異なる部分になります。

参考

「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第38条の「会計の区分」についての規定:

(会計の区分)
第三十八条 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない。

例えば、1つの会社で、【不動産業】と、【訪問介護】 2拠点でのデイサービスを行っている場合

①不動産業
②訪問介護
③○○デイサービス
④△△デイサービス

といったように、4つに分けて会計処理を行う必要があります。

参考までに、具体的な会計処理方法には以下の4つがあります。少し専門的な話になりますので、ここでは概要のみお伝えします。

1) 会計単位分割方式:
事業拠点毎、かつ、介護サービス事業別に独立した会計処理。貸借対照表、損益計算書も事業拠点別に作成。

2) 本支店会計方式:
事業拠点毎、かつ、介護サービス事業別に会計処理。貸借対照表の資本の部は分離せず、拠点間取引は本支店勘定。

3) 部門補助科目方式:
勘定科目の補助コードでサービス事業毎に集計。貸借対照表は、サービス事業別にしないで収支損益のみ区分。

4) 区分表方式:
仕訳時に区分せず、損益計算書から科目毎に按分基準で配賦。配分表を作成して、事業別の結果表を作成する。科目によっては、部門補助科目方式を併用する。



「会計の区分」は、業績管理や税金の計算の必要に応じて行えば良いといったものではなく、介護事業を行ううえで遵守しなければならない運営基準となります。

もし、適正な会計の区分を行っていない場合、実地指導で『運営基準違反』として指導の対象となり、改善がなされない場合は『指定取り消し処分』になってしまうこともあります。


介護事業の売上の計上方法には注意が必要

もう一つ、注意が必要な点として、売上の計上方法があります。

介護サービスというのは、介護をしてあげるという「役務の提供」に該当します。
役務の提供は、会計上、「役務の提供が行われたとき」に売上を計上します。

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例をあげてみましょう:

3月中の介護サービス(役務の提供)を、
4月に、介護報酬の請求を実施し、
5月に、報酬の入金があった場合

皆さまの認識では、「5月に入金があったのだから、5月の売上」と、なんとなく思われるかもしれません。
しかし、会計上では、「役務の提供が行われたときは3月であるため、3月の売上」と認識されます。
じゃあ5月は?というと、それは「3月分の入金があった」月というだけです。

介護事業では、介護保険制度に基づき、報酬を請求してから、実際に入金されるまでに”2ヶ月遅れのタイムラグ”が生じます。そのため、決算においては、かならず『2か月分の未収金が発生する』ことをお知りおきください。



なかには、介護事業の経験の少ない税理士や会計士の場合、未収金を1ヶ月分しか計上していないケースもあるので注意が必要です。

税務調査で指摘されれば、介護事業の売上が増加し、法人税の支払いが必要となるだけでなく、加算税や延滞税の支払いを求められる可能性も生じてきます。

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上記はほんの一例ですが、介護事業における税金の処理や会計を行うには、一般の税務会計の知識以外に、『介護事業特有の会計について』の専門的な知識が必要となります。

これらは、厚生労働省関係の規定となるため、税理士であれば誰でも知っている知識というわけではありません。
依頼する税理士や会計士は、介護事業に精通した専門家を選ぶことが大切です。

税理士選びに迷われている方は、ぜひ松本会計事務所へご相談ください。

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