デイサービス開業までの流れを教えてください。(大阪市此花区:30代男性)
こんにちは!大阪の介護専門税理士 松本会計事務所 副所長の高田純です。
一般的なデイサービスの開業までの流れは以下の通りです。
ステップ①事業構想の構築(なぜ開業したい、どのような資金・事業の計画か)
まず、なぜデイサービスを開業したいのか、事業を始める動機を明確にしましょう。
デイサービスは、もちろんビジネスではありますが、社会的な側面があります。
経営にあたっては、社会福祉の観点と使命感がなければ続かないでしょう。
また、事業計画を作成したら、ご家族に見せて相談されることをお勧めします。
家族の存在は、開業後の色々な経営上の困難を乗り越えていく場合の大きな支えになってくれます。是非、開業前に家族の理解を得てください。
■ステップ②場所選び
年々、介護事業所数も増加していますので、開業したい地域にデイサービスがどれぐらいあるかを調査し、要介護・要支援認定者人口と合わせて、分析する必要があります。
そのうえで場所を選び、物件の選定に入りましょう。
デイサービスの地域選びについてはこちらの記事も参考にしてみてください。↓
https://kaigokeiei.net/index.php?QBlog-20200930-1
■ステップ③物件選び
事業所には事務スペース以外にも、食堂や機能訓練室、静養室、相談室が必要です。契約書の使用目的が事務所となっていることを確認し、運営上の各種条件をクリアできるかどうかを調査しましょう。
緊急車両がスムーズに往来できる必要がありますので、袋路などは避ける必要があります。
また、物件選びに際に、消防設備の確認も必要です。自動火災報知機など、設置が義務付けられています。
例えば、スプリンクラーが付いてない物件ですと、賃貸予定の事務所だけでなく、賃貸予定の物件の全室に設置する必要があります。
本来は、貸主負担での設置となると思いますが、数百万円かかるケースもあり、貸主がなかなか設置してくれない。ということも考えられるため、契約の前に確認が必要です。
■ステップ④申請(・法人設立・事業者指定申請)
まず、法人を設立し、事業者指定申請を行う必要があります。
指定申請とは、都道府県、市区町村など、サービス・所在地ごとに定められている機関に届出を行い、介護事業者としての指定を受けることです。人員基準や施設基準などの要件を満たしている。か、過去5年以内に指定の取り消し処分を受けていないか''などがチェックされます。
指定申請には定められた書類の提出や、研修の受講などが必要な場合もあります。最低でも開業予定日の3ヵ月前から余裕をもって準備を始めましょう。
また、介護事業者として指定を受けるためには、必ず法人格が必要になります。
申請する種類の事業目的が記載された登記簿謄本が必要となりますので、すでに法人格を持っている場合でも、会社の事業目的欄に「介護保険法に基づく通所介護事業」「介護保険法に基づく介護予防通所介護事業」などの文言が入っているか確認してください。入っていない場合は事業目的の変更登記を行います。
■ステップ⑤資金調達(融資、補助・助成金の検討)
事業所の開設にかかる費用など、自己資金で賄えない場合は、金融機関を利用して資金を調達する必要があります。
新規開業時は民間の金融機関では融資を受け入れてもらうのが難しいため、日本政策金融公庫から創業融資を受けるのが一般的です。審査のために事業計画書、及び各種の書類の提出が求められます。
■ステップ⑥スタッフの確保、利用者の獲得
デイサービスを開業するには、管理者、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員などの資格保有者がそれぞれ1名以上必要となります。
デイサービスの人員基準についての詳細はこちらの記事をご参照ください。↓
https://kaigokeiei.net/index.php?%E9%96%8B%E6%A5%AD%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E8%B3%87%E6%A0%BC%E4%BF%9D%E6%9C%89%E8%80%85%E3%81%AE%E4%BA%BA%E6%95%B0%E3%81%AF%E4%BD%95%E4%BA%BA%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F
スタッフの募集や、利用者の獲得のためにホームページの作成や、ケアマネさんなどを通じて利用者の紹介の依頼を行うなどの営業活動も必要となります。
■ステップ⑦物品、事務機器等の準備、車両の購入など
必要な物品や事務機器、車両の確保が必要です。
指定申請の時点で「いつでも事業を運営できる状態」にしておく必要があり、証明するため事務所内部の写真の提出が、求められますので注意しましょう。
■ステップ⑧電話番号、名刺作成、パンフレット準備など
代表電話番号を取得し、主要スタッフの名刺を作成します。
入所を促進するための宣伝広告活動やパンフレットの準備も必要です。
以上が一般的な流れですが、ステップを順に踏んでいけば、必ずしも順調に開業に至るとは限りません。
会社設立、指定申請、建物の賃貸借契約、基準を満たす人員確保は、ほぼ同時進行する必要がありますので、タイミングにも注意が必要です。
※特にステップ④⑤⑥⑦については、同時並行で進める必要があります。
指定申請の際には、従事する従業員の確定・事務所や車両が営業可能な状態ということが、すでに完了している状態での申請となります。
資金計画なども決まっていないうちに、見切り発進することも危険です。
松本会計事務所では、会社設立や指定申請、融資の手続きの支援も行っています。開業をお考えの方は、ぜひ早い段階で一度ご相談ください。