介護事業者のための会計入門~資金繰り表と損益計算書の違い~

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

2012.9.6のブログ「介護事業者のための会計入門~黒字倒産~」で取り上げた資金繰り表と損益計算書を再掲してみましょう。

【仮定】
4月開業
介護報酬月額200万円⇒翌々月の25日入金
給料・家賃等の経費月額180万円⇒当月25日
利用者の1割合負担は介護報酬に含み回収条件は国保連の請求と同じとする。

以上の条件で運転資金はいくら必要でしょうか?
簡単な月別資金繰り表を作成してみると分かります。

資金繰り表       (単位:万円)  

4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月初0▲180▲360▲340▲320▲300▲280▲260▲240
入金(25日)0200200200200200200200
出金(25日)180180180180180180180180180
月末▲180▲360▲340▲320▲300▲280▲260▲240▲220

上記の資金繰り表に基づき損益計算書を作成すると次の様になります。

      損益計算書       (単位:万円)  

4月5月6月7月8月9月10月11月12月
前月繰越利益020406080100120140160
売上200200200200200200200200200
費用180180180180180180180180180
次月繰越利益20406080100120140160180



両者の違いは、4月と5月です。

資金繰り表では、4月と5月の入金が0で損益計算書は売上が200です。

以上が前回のブログの復習です。

今回は、なぜ両者に違いが生じるかを解説します。

損益計算書は、会社の業績(儲けや稼ぎ)を正しく表示することを目的として作成されます。

それでは、資金繰り表は正しく会社の業績を示していないのでしょうか?

それを検証してみましょう。

もし資金繰り表が会社の業績を示すものであると仮定すると、4月と5月はともに▲180で業績は悪いということになります。

本当にそれで正しいでしょうか?

皆さんは、どう思われますか?

4月も5月も介護サービスを提供して、一生懸命働いているのにもかかわらず、お金が入っていないからという理由で赤字▲180と評価されたら働く気がしませんよね。

資金繰り表は、資金がいつ頃不足するかしないか、またいくら不足するか余剰があるかを示す表であって、会社の業績を表すものではありません。

会社の業績は、損益計算書で分かります。

損益計算書では、4月と5月は入金はないが、将来入金されるので売上として4月と5月に計上することによって、20の利益が生じていると表示します。

これによって、4月と5月は、それぞれ20の利益が出ているので儲かっていると正しい判断が出来ます。

4月と5月は怠けていたわけではありません。

それを正しく評価(売上として計上)しないと正しい業績を把握することは出来ません。

資金繰り表と損益計算書はそれぞれ役割が違うのです。

必要に応じて使い分けなければなりません。

お分かりいただいたでしょうか?



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