介護事業者のための会計入門~お金がないのになぜ税金が高いの?~

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

「お金があったら税金を払うけど、お金が増えていないのに、なぜそんな高い税金を払うの?」と疑問に思われる方がおられると思います。

例えば、「この1年間でお金が100増えたので、40の税金を払うのなら納得するが、50しか増えていないのに40の税金を払うののは納得できません」と思われないでしょうか?

そこで今回は、その疑問にお答えしたいと思います。

次の、資金繰り表と損益計算書をご覧ください。

まず、2012.9.5のブログ「介護事業者のための会計入門~運転資金その2~」で取り上げた資金繰り表を再掲します。

【仮定】
4月開業
介護報酬月額200万円⇒翌々月の25日入金
給料・家賃等の経費月額180万円⇒当月25日
利用者の1割合負担は介護報酬に含み回収条件は国保連の請求と同じとする。

以上の条件で運転資金はいくら必要でしょうか?
簡単な月別資金繰り表を作成してみると分かります。

資金繰り表 1      (単位:万円)  

4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月初0▲180▲360▲340▲320▲300▲280▲260▲240
入金(25日)0200200200200200200200
出金(25日)180180180180180180180180180
月末▲180▲360▲340▲320▲300▲280▲260▲240▲220

上記の事例に基づき、不足している運転資金360を金融機関から借入し、3年返済で毎月10を6月から返済した場合の資金繰り表を作成してみましょう。利息の支払いは簡略化するため「なし」とします。

   資金繰り表 2      (単位:万円)  

4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月初01800102030405060
入金(25日)360200200200200200200200
出金(25日)180180190190190190190190190
月末180010203040506070




「資金繰り表2」を12ヶ月分にすると次のようになります。
   資金繰り表 2      (単位:万円)  

4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
月初01800102030405060708090
入金(25日)360200200200200200200200200200200
出金(25日)180180190190190190190190190190190190
月末1800102030405060708090100



一方、損益計算書は次のようになります。
   損益計算書      (単位:万円)  

4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
前月繰越利益020406080100120140160180200220
売上200200200200200200200200200200200200
費用180180180180180180180180180180180180
次月繰越利益20406080100120140160180200220240



会社の税金(法人税と法人住民税)を40%と仮定して、税金はおおよそ3月の次月繰越利益240の40%で96になります。

しかし、「資金繰り表2」の3月の月末のお金は100しかありません。

「100のお金しかないのに、税金を96払うのは納得できません」と言われるのは当然かと思います。

なぜ、このようなことになったかと言うと

  1. まず、税金は損益計算書を基にして計算し、資金繰り表からは計算しないこと。
  2. 借金の返済(毎月10)は損益計算書では費用にならないこと。(一方、借りた360も売上にはなっていません)
  3. 介護報酬の入金が2ヶ月遅れであること。
    です。

また、次のような場合にもお金はなくなりますが税金は安くなりません。

  1. 土地を購入した。
  2. 建物を建てた(減価償却を通して長期間で費用になります。)
  3. 車を買った(同上)
  4. 株に投資した
  5. お金を貸した
    などです。

疑問にお答えできたでしょうか?

なお、資金繰り表と損益計算書の違いについては、2012.9.9のブログ「介護事業者のための会計入門~資金繰り表と損益計算書の違い~」をご覧ください。



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