有料老人ホームの届出手続進まず。

こんにちは。介護専門税理士の松本昌晴です。

厚生労働省は、

  1. 老人福祉法 (昭和 38 年法律第 133 号) で施設名称や管理者などを届け出ることを義務付けられている有料老人ホームに該当しながら、届出が行われていない施設の届出や指導の状況
  2. 前払金の保全措置実施状況についての調査結果
    を報道発表しました。

各調査時点における届出状況(ストック)

それによりますと、まず全国の未届の有料老人ホームの数は、

  1. 平成24年10月31日 403件
  2. 平成23年10月31日 259件
    と、144件増加しており届出手続が進んでいない実態が判明しました。

各調査時点における届出状況


前払金の保全措置が義務づけられている施設の保全措置の状況について

また、前払金の保全措置実施状況では、前払金の保全措置が義務 付けられている有料老人ホームのうち、実際に前払金を徴収している事例は1,237件あり、このうち保全措置が講じられていな施設は213件もあることが判明しました。

前払金の保全措置


厚生労働省は各自治体に通知

調査結果から、届出促進、適切な指導監督等の取組を徹底する必要性が確認できたため、厚生労働省では、5月31 日付けで各都道府県 、指定都市 、中核市に対し、

  1. 一層の届出促進指導などの取り組みを徹底する必要があこと
  2. 有料老人ホーム事業者に対して、前払金の保全措置が必要であることを周知徹底すること
  3. 前払金の保全措置を講じていな有料老人ホーム事業者に対し、改善に関する取り組みを速やかに行うよう指導するともに、悪質な場合は罰則適用を視野に入れた上で、指導の徹底を図ること
    に関する適切な実施を求め通知を出しました。

なお、厚生労働省は今年10 月時点での5回目の調査を実施する予定です。



以上、厚生労働省の報道発表から引用しました。

有料老人ホームの概要

制度の目的

  1. 老人福祉法第29条第1項の規定に基づき、老人の福祉を図るため、その心身の健康保持及び生活の安定のために必要な措置として設けられている制度。
  2. 設置に当たっては都道府県知事等への届出が必要。なお、設置主体は問わない(株式会社、社会福祉法人等)。

有料老人ホームの定義

老人を入居させ、以下の1~4のサービスのうち、いずれかのサービス(複数も可)を提供している施設。

  1. 食事の提供
  2. 介護(入浴・排泄・食事)
  3. 洗濯・掃除等の家事
  4. 健康管理
有料老人ホームの定義

有料老人ホームの概況(平成23年度)

介護付有料老人ホーム住宅型有料老人ホーム健康型有料老人ホーム
・介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設
・介護等が必要となっても、ホームが提供する介護サービスである「特定施設入居者生活介護」を利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能
・生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設
・介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能
・食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設
・介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければならない

有料老人ホームの件数と定員数

有料老人ホームの届出状況の推移

有料老人ホームの急増要因

  1. H12の介護保険制度の創設により、民間事業者による運営がしやすい環境が整ったこと。
  2. H18の老人福祉法の改正により、有料老人ホームの定義が改められて対象が増えた(定員要件の廃止、対象サービスの増加)こと。
  3. 現在も、高齢者向けの住まいのニーズが拡大していることから、比較的安価なものも含めて、届出数は増加傾向にある。
    有料老人ホームの届出状況の推移

(注)

  1. 平成元年は社会福祉施設調査(10月1日現在)
  2. 平成2年以降は厚生労働省(旧厚生省を含む)調べ(平成2年は10月1日現在、平成10年は4月1日現在、他は7月1日現在)



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