NHK「高齢者住宅で何が~見過ごされる”不正介護”」
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
NHK大阪放送局で「高齢者住宅で何が~見過ごされる”不正介護”」という番組が放送され、ご覧になった方もあるかと思いますが、ご覧になれなかった方のために番組の一部をご紹介します。
高齢者住宅で悪質な介護サービスが行われている実態がある
【番組の冒頭】
これまで介護が必要になったら施設に入るか、自宅で介護サービスを受けるかでした。
例えば、特別養護老人ホームは、いま入居待機者は52万人に及びます。
一方で、自宅で介護をするのも難しくなっています。
行き場のない高齢者を支える新たな受け皿を作るのが、課題になっています。
こうした中で新たな受け皿として、注目されているのが高齢者住宅です。
集合住宅の中の部屋に入居しますので、自宅扱いとなります。
多くはヘルパーなどが常駐する事業所を併設していて、いながらにして介護サービスを受けられます。
特に人気なのが安否確認や生活相談のサービスを受けられるサービス付き高齢者向け住宅。
この2年ほどで15万戸を超えています。
国が補助金を出して整備をすすめています。
しかし、高齢者住宅でいま不正が相次ぎ、悪質な介護サービスが行われている実態が明らかになりました。
いったい何が行われているのか取材しました。
悪質な介護サービスが行われている実態例
番組では、悪質な例として次のようなケースを紹介していました。
- 5分程度の介護サービスを20分に水増している。
- 医師や看護師しか認められていないインシュリン注射をヘルパーが行っている。
- 認知症の高齢者が動き回わらないよう、ベルトで身体を拘束している。
- ケアマネジャーが社長から区分支給限度額ギリギリまで水増しをするよう要求されている。
高齢者住宅で不正が横行している理由
高齢者住宅の経営コンサルタントの濱田孝一氏は、その背景に高齢者住宅独自のビジネスモデルがあると言います。
経営者の中には家賃を低く設定することによって、入居者を増やそうとする人がいます。
その分、自ら経営する介護事業所のサービスを限度額いっぱい使ってもらい、介護報酬で利益を上げるのです。
ケアマネジメントだとか介護保険の理念とかを勉強しないで、とりあえず利益がどうしたら出るのかということだけを考えてしまってスタートする。
それがどんどんグレーなゾーンに走ってしまう。
大阪府堺市の取組
堺市は高齢者住宅の入居者の部屋に立ち入って、適切にサービスが行われているか実態調査に乗り出しています。
生活保護を受ける人の生存権が、守られているか確認する名目で行われています。
堺市が立入調査をはじめるキッカケは、高齢者住宅に入居し生活保護を受けている人の介護サービスの利用額が不自然に高かったことでした。
自己負担のない生活保護受給者を狙って、必要のないサービスが行われているのではないか調査をすることにした。
「この調査を行っていくことによって、事業者のかたがたの気づきというものを得ていただくことができたら、それによって不正あるいは不適正な事案が起こることが未然に防ぐことができるのではないか」
しかし、堺市の取り組みにも限界があります。
調査の結果が改善につながらないケースもあります。
改善されない場合でも、堺市は摘発は出来るだけ行わない方針です。
厳しい措置によって住宅が閉鎖されれば、高齢者の行き場がなくなってしまう恐れがあるからです。
【関連ブログ】
「堺市 全国初の生活保護受給者の居室に立ち入り調査」(2013.12.19)
http://kaigokeiei.net/index.php?go=5sINp9
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