予防訪問介護・通所介護を総合事業に移行する厚労省の本音
こんにちは。大阪の介護専門税理士の松本昌晴です。
介護予防訪問介護と介護予防通所介護が、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)に移行されます。
なぜ、厚生労働省は介護予防訪問介護と介護予防通所介護を市町村の総合事業に移すのでしょうか?
介護予防訪問介護と介護予防通所介護は、ボランティアなどでもできるサービスが含まれており、高齢者に多様な場や多様なサービスを提供するためには、市町村の総合事業に移した方が効果的で効率的であると厚生労働省は述べています。
この点については、9月4日のブログで書きました。
それでは、何故わざわざそのようなことをするのでしょうか?
何か目的はあるのでしょうか?
厚生労働省の本音は、どこにあるのでしょうか?
現行の給付費の伸び率(平均5.6%)を後期高齢者の伸び率(平均3.7%)に抑える
下の図をご覧ください。
現行の給付費の伸び率(グレーの折れ線)と後期高齢者数の近年の伸び率の平均3.7%に抑制した場合(黄色の折れ線)とを比較した図です。
グレーの折れ線グラグは、介護事業者が今まで通り予防給付をした場合の費用の伸びを示しています。
一方黄色の折れ線グラフは、介護予防訪問介護と介護予防通所介護を総合事業に移行して、ボランティアなどが介護事業所に代わってサービスを提供し、伸び率3.7%に抑えた場合の費用の伸びを示しています。
上図のように理想通りなれば、2025年で800億円、2030年で1,500億円、2035年で2,600億円の給付費を削減できます。
総合事業に移す目的は介護事業所に支払う報酬をカットして財政負担を減らすこと
以上からお分かりの通り、今回の市町村の総合事業に介護予防訪問介護と介護予防通所介護を移す目的は、介護事業所が提供しているサービスの一部をボランティアさんなどにお願いして、介護事業所に代わってサービスを提供してもらい、介護事業所に払っている報酬を減らすことにあります。
これによって、国や市町村の負担を減らすことができます。
これが、厚生労働省の本音です。
ただし、実現するためにはボランティア、NPO法人、社会福祉法人などを確保しなければならず、また研修教育してコーディネートするまとめ役(生活支援サービスコーディネー)の役割が重要になってきます。
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